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今、トリックスターを守る時

2019年04月25日 | 雑記帳
 目にしたことはあるが、今一つはっきり理解していない言葉は結構あるものだ。先日読んでいたある二冊の雑誌で偶然同じ語を見つけ、読み進めながら考えさせられた。それは「トリックスター」。…広辞苑には「詐欺師」そして「社会の道徳・秩序を乱す一方、文化の活性化の役割を担うような存在」と記されてあった。


 一冊目はあの籠池夫妻に対してのインタビューだった。森友事件についてはマスコミ報道レベルでしか知らないが、TVで見る限りなんとなく胡散臭い感じを抱いていた。ただ、一方の対象となる現職総理夫妻と比較して語られるのは、あまりに不公平感があり、思わず親身になってしまった。彼らの乱した空気は何だ。


 やはり長いものに巻かれろという思考の蔓延ではなかったか。事実がどうあれ、決定的な証拠がない限り、時の権力側に有利に働くことは自明の理である。しかしそれを自分の認識範囲内で責任を持つために、拘留もやむなしという選択をしたことに敬服する。スターとまで呼ぶ逆転は厳しいだろうが、確かに跡は残した。


 もう一冊では、その名は参議院議員山本太郎に向けられていた。作家島田雅彦が書評で彼をそう評した。六年前当選してから様々な言動が話題を呼んだ。普通に考え突飛すぎると思ったこともある。しかし彼の真骨頂は、国会外のことより、国会内での鋭い質問だった。たった一人に与党全体が揺さぶられた時もある。


 その成果がどれほどかは判断しかねる。ただ、彼が立候補前に出演した震災関連のドキュメンタリー、さらに三年前、雨の銀座で街頭演説している姿にたまたま出くわしたことを思い起こしてみると、その存在は貴重だなと思わざるを得ない。空気を読まないからこそ真価が出る。島田はこう書いた。「山本太郎を守れ」。