すぷりんぐぶろぐ

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反省せずに、翻訳練習しよう

2019年04月03日 | 読書
 「反省好き」である。始終反省していた。しかし、その割に進歩した実感がない。反省の仕方が悪いのかと反省してみた。仕方を変えても、相変わらず仕方なかった。「反省だけならサルでもできる」と言ったのは誰だったか。ということは、肝心なのは反省ではないのだと、反省する。


2019読了34
 『反省しない。』(樋渡啓祐  中経出版)



 5年前の秋、発刊された当時に読んだ。ネット上でも注目されていたし付いていたDVDも面白かった。感想として記した「『行き当たりばったりの思想』に気づく」も、我ながら的を射ているのではないか。著者自身はその後に知事選に立候補し落選したが、その後の足跡もなにやら「行き当たりばったり」に見える。


 当時の勢いがそのまま出た、いわば「成功本」と言えるだろう。読み直してみて、改めて成功の具体的な要因を探ってみる。第4章「組織コトバを学ぶ、翻訳する」が肝に見えた。ここには樋渡市長に続いて、武雄市役所に入ってきた人物たち等が描かれているが、これらの方々に共通するのは、翻訳がうまいことだ。


 翻訳がうまいとは語学であれば「正確に、誤りなく」であろう。しかし実は「意図が伝わる」ことがより重要ではないか。活躍した部下たちは、「僕のオーダーをいい加減に『翻訳』」したのだという。この場合「いい加減」は「良い加減」を含んでいる。部署内に浸透させるために、バラエティある手法がとられている。


 一見突飛な政策、無理な要求に思えても、視線を変えたり情に訴えたりすることによって人の心へ落ち着かせることが出来る。指示だから従えという在り方は今の時代に馴染ませない。組織内部だけでなく「翻訳」して部外者へ説明、アピールすることも大切だ。「翻訳の思想」が共生時代のキーワードと言ってもいい。