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見誤ってはいけない道

2022年04月19日 | 雑記帳
 「プーチンって悪いよねえ。」と、4歳の孫までそんなことを口にする。ニュースや大人の会話から繰り返し耳に入った言葉だろうが、初めてそれを聞いた時何か違和感を覚えた。もちろん軍事進攻には激しく反対するが、一方の認識ばかり蔓延していいのかと不安もよぎる。そんな時に東大入学式祝辞のことを知った。

「なぜこのようなことが起こってしまっているのか。一方的な側からの意見に左右されてものの本質を見誤ってはいないだろうか?誤解を恐れずに言うと『悪』を存在させることで、私は安心していないだろうか?」

 映画監督河瀬直美のメッセージが、日本の将来を背負って立ってほしい若者に向かってどれだけ届いたのだろうか。当然ながら、異なる見解を抱く者もいるはずだが、その違いを真摯に受け止めて現実を見つめることの大切さは変わらない。目を凝らせば、じわりじわりと迫ってくる圧力が増していることはわかる。


 定期的に送られてくる『通販生活』は、物品購入より読み物が面白く取っている。とはいえ、大判なので隅から隅まで読む前に棚に置かれるのが常だ。時事エッセイ「こんなこと言っても、得することはないんですけども…」を作家中村文則が連載しているのに今回気づいた。第2回である。その題にぎくりとした。



 中村は「肌で感じたという、印象論に過ぎない」としながら、広い意味での政治と「マゾヒズム」(規則に縛られたい、委ねたい、考えたくない等)の関係性を指摘した。それが的を射ているとすれば、「お上」と米国の支配から脱け出せない、いや脱け出すことを嫌う国民性が辿る道は察しがつく。変革が迫られている。