すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

初冬の絵本覚え書き

2023年12月07日 | 絵本
 先月はこども園だけの読み聞かせとなってしまった。
 いずれも良い本だったが、印象深い2冊をメモしておこう。


『おばあさんのすぷーん』

 この50年も昔に発刊された絵本を、平成最後の年に生まれた子たちもしっかり見いり、聴き入ってくれた。今の本にはあまりない独特の画風だし、リズミックな文体も子どもたちを引きつけると言ってよいだろう「でぶちん」や「やせっぽ」も今は使われない語だが、ニュアンスで理解できるので笑顔になっていく。



 ねずみたちがスプーンとともに遊びながら、持ち主のおばあさんの家へ飛び込んでいくストーリーは、禍転じて福となすという安定的な見方ができる。最終場面「カラスが見ている」ことに誰しも注目するが、その「部外者」をどう捉えるか。自分なりの解釈を考えてみるのも面白い。心理テストになるかもしれない。



『みんなのおすし』

  読み聞かせグループのお一人が絶賛していた。寿司屋のカウンターを舞台に展開するこの一冊は仕掛け絵本の良さを生かしている。食べる場面のインパクトをより強調される。登場してくるお客の順番は普通の会社員から始まり、実際と架空が入り混じり、聴き手のテンションはページをめくるごとに上がっていく




 そしておっと思わせる最終場面が面白い。職人がネコであり、最後の客がネズミたち。ネズミたちはネタを模した衣装をまとっている。さあ、どうなったか。それは最後の「返し」の部分の絵で想像できる。こども園相手であれば、ここは安心のオチでよかったと思う。「みんなのおすし」という平凡さは考えれば深いか。


コメントを投稿