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晩秋のB面ナンバー

2018年11月02日 | 読書
 リリーフランキーが注目されるようになってからずいぶん経つが、それ以前からある雑誌の連載がお気に入りで、妙にシンパシーを感じていた。
 だから、個人的名言録である「キニナルキ」の「B面」における主役的な存在と言ってもいい。
 ここしばらくご無沙汰していたので、二つ拾ってみた。


Volume124
 「人がほぼ聞き流しているところが気になるんです」

 是枝裕和監督との対談での言葉。
 リリーが、悪役で出演した映画で人を切り刻み焼却炉に放り込む時と、別の映画で居酒屋のサラダ注文の時の、セリフを言う感じがあまり変わらないと、是枝が指摘したときにそんなふうに言った。

 映画として見た時「本筋とちょっとずれたところでの言い方」に注意を払っていることは、かなり深いような気がする。
 「神は細部に宿る」という名言を持ち出すまでもないだろうが、人間とは、人間の表現とはそんなものだと納得する。



Volume125
 「のりしろが、人間を正しい道へ導くんだよ」

 The Coversのコーナーである星屑スキャットとの会話で、リリーが話した一言。
 これは直接的な言葉かけでなく、一歩引いた表現をすることで、人の心を動かしていくという意味合いで使われた。

 もう一つ連想したことは、人間そのものにも「のりしろ」があるかもしれないということ。(のびしろとはよく言うが、全然違う)

 結局どんな形であれ、人は誰かとつながらねば生きていくことはできない。
 その部分の広さ、狭さ、そして質の違いに、少なくとも個性が出ることだろう。そこがもしかしたら「正しい道」につながるのではないかと感じた。
 少なくとも、自分ののりしろが汚れていないようにしなければ、と晩秋に思い巡らす。

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