今回は、令和5年-健保法・問6-C「保険給付の調整」です。
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被保険者に係る療養の給付又は入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外
併用療養費、療養費、訪問看護療養費、移送費、家族療養費、家族訪問看護
療養費若しくは家族移送費の支給は、同一の疾病又は負傷について、他の法令
の規定により国又は地方公共団体の負担で療養又は療養費の支給を受けたとき
は、その限度において、行わない。
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「保険給付の調整」に関する問題です。
次の問題をみてください。
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【 H25-5-A 】
災害救助法が発動され、負傷した70歳未満の被保険者に対して都道府県から
応急的な医療が行われた場合には、その費用の70%を健康保険が、25%を
都道府県が負担することとされており、5%が被保険者の負担となる。
【 H20-7-B 】
結核患者である健康保険の被保険者が公費負担による通院医療を受ける場合、
原則として、その費用の70%を健康保険が、30%を都道府県が負担することと
されており、当該被保険者の負担はない。
【 H12-7-D 】
災害救助法の指定地区で健康保険の被保険者が被災し医療を必要とするとき
は、健康保険の療養の給付が優先し、災害救助法による救助は健康保険の給付
の及ばないものに限られる。
【 H17-5-E 】
災害救助法の規定により被災者の医療について公費負担が行われた時は、
その限度において健康保険の保険給付は行われない。
【 H30-3-A 】
被保険者に係る所定の保険給付は、同一の傷病について、災害救助法の規定
により、都道府県の負担で応急的な医療を受けたときは、その限度において
行われない。
【 H12-8-D 】
保険優先の公費負担医療と健康保険が併用された場合、健康保険の一部負担
金に相当する金額の範囲内で公費負担医療から支給される。
【 H16-8-B 】
生活保護法による医療扶助と健康保険による保険給付が併用される場合は、
健康保険による保険給付が優先され、費用のうち健康保険による保険給付が
及ばない部分について、医療扶助の対象となる。
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「保険給付の調整」に関する問題です。
公費負担による医療や他制度に基づく医療が行われる場合、健康保険との
間で調整が行われます。
その根拠となる規定を条文どおり出題したのが【 R5-6-C 】で、その
とおり正しいです。
この規定では、単に「その限度において、行わない」としていますが、この
調整は、実際には一律に行われるのではなく、対象となる制度によって異なり
ます。
それらについて、具体的な出題がいろいろと行われていますが、
健康保険の保険給付が優先するのはどのような場合なのか、
健康保険の保険給付より優先して行われるのはどのようなものなのか、
これを論点とすることがよくあります。
例えば、災害救助法による医療は健康保険の保険給付より優先しますが、生活
保護や結核患者に対する公費負担は健康保険の保険給付が優先します。
【 H25-5-A 】では、
「70%を健康保険が、25%を都道府県が負担することとされており、5%が
被保険者の負担」という割合を挙げています。
前述したように、災害救助法の規定により医療が行われる場合、健康保険より
優先します。そして、被保険者に費用負担は生じません。
ですので、誤りです。
この負担割合は、【 H20-7-B 】にある結核患者に係る公費負担医療の
取扱いとの混同を狙ったものです。
ただ、【 H20-7-B 】も誤りです。
一般に結核患者に対しては、都道府県が費用の100分の95を負担します。
ただし、この場合、保険優先の扱いとなるので、まず健康保険が100分の70
の負担をします。
そして、保険が適用されないとした場合の公費負担の100分の95と健康保険
適用分の100分の70との差(100分の25)が、実際の公費負担となります。
被保険者は、いずれからも負担がない部分である「費用の100分の5」を負担
することになります。
【 H12-7-D 】と【 H17-5-E 】、【 H30-3-A 】も災害救助法
に関しての問題で、【 H12-7-D 】は災害救助法より健康保険のほうが優先
する内容なので誤りで、【 H17-5-E 】と【 H30-3-A 】は正しいです。
【 H12-8-D 】と【 H16-8-B 】は、いずれも健康保険が優先される
場合の取扱いで、正しいです。
ということで、どちらが優先なのか、整理をしておきましょう。