【ぼちぼちクライミング&読書】

-クライミング&読書覚書rapunzel別館-

「RDG」(1)(2)荻原規子

2010年05月16日 21時06分46秒 | 読書(小説/日本)

「RDG」(1)(2)荻原規子(角川書店)

今月末に3巻目が出版されるので、心の準備と気分を盛り上げるため(1)(2)を読み返した。
キャラクター設定の巧さと、絶妙なストーリー展開。
(何回読んでも面白い)
「RDG」の前作は「風神秘抄」であるが、キャラクター設定は全く異なる点が興味深い。
「RDG」のヒロイン・泉水子と相手役・深行は、(そうですねぇ、例えるなら)ノンナとユーリのような感じかなぁ。(「アラベスク」)
もっと解りやすく言うと、六花ちゃん(「テレプシコーラ」)と千秋先輩(「のだめ」)のような感じ。
さて、角川公式サイトを読むと、「RDG」(3)は夏休みでの合宿での出来事が描かれるようだ。
楽しみ・・・待ちきれないぞ!
カドカワ銀のさじシリーズ公式サイト
著者ブログ→アンダンテ日記


前作「風神秘抄」・・・ヒロイン・糸世のキャラクター設定は「RDG」と全く異なる。
そうですねぇ・・・・例えるならミリ―か?(「ミリ―ただいま参上!」忠津陽子)


「ダブルジョーカー」柳広司

2010年05月16日 09時51分45秒 | 読書(小説/日本)

「ダブルジョーカー」柳広司(角川書店)

スタイリッシュなスパイ小説。
先日読んだ「ジョーカーゲーム」の続編。
第2次大戦が時代背景、情報戦、頭脳戦が展開される。
プロットが練られていて、スリリングな展開、落とし方も上手い。
全部で5編の短編からなり、それぞれ独立している。
「ダブルジョーカー」
「蠅の王」
「仏印作戦」
「柩」
「ブラックバード」
・・・どれもレベルが高い。
感心したのは「蠅の王」の導入部。
戦地慰問「わらわし隊」の漫才が導入。
この漫才がけっこう面白い。
関西弁を駆使した文章で見事。
著者略歴を見ると、三重県生まれ、神戸大卒、とある。
だから、これだけ大阪弁を操れるのか。
(関西県外の方には困難でしょうね)
前回(3/15)も書いたが、通勤読書にオススメ。
(読んでいるとこ見られても恥ずかしくないし)
【参考】
「ジョーカー・ゲーム」柳広司

【ネット上の紹介】
結城中佐率いる“D機関”の暗躍の陰で、もう一つの秘密諜報組織“風機関”が設立された。
だが、同じカードは二枚も要らない。どちらかがスペアだ。
D機関の追い落としを謀る風機関に対して、結城中佐が放った驚愕の一手とは―。
表題作「ダブル・ジョーカー」ほか、“魔術師”のコードネームで伝説となったスパイ時代の結城を描く「柩」など、5編を収録。
吉川英治文学新人賞&日本推理作家協会賞W受賞の超話題作『ジョーカー・ゲーム』シリーズ第2弾、早くも登場。


「野田ともうします。」(2)柘植文

2010年05月16日 09時50分39秒 | 読書(マンガ/アニメ)

「野田ともうします。」(2)柘植文(講談社)

シリーズ2作目最新刊、さっそく購入した。
この作品の面白さは「野田さん」のキャラクターにある。
今時の女子大生と正反対。
ファッションや化粧に興味が無く、真面目に講義に出席する。
男に興味がないのか、「コイバナ」に無関心。
いわゆるヒロインの「恋愛沙汰」は描かれない。
(このあたり、佐々木倫子作品と似ているけど、野田さん知識豊富)
サークルには入っている・・・手影絵サークル「ブラックハンド」。(マイナーだ!)
交友関係はサークル活動の仲間、大学の講義の仲間、アルバイト先「ファミレス」の同僚たち。
(特異なキャラクター設定はない、どこにでもいそう)
シュールでナンセンスな設定もあるが、過激にもドタバタにも流れず適度に押さえられている。(過剰になったら筒井康隆作品になる)

例えばこんな話・・・「私達は期待していく」
ファミレスの同僚・トミー(女性30前後)がダメ男・ツトムンに貢いでいる。
その日も、「スロット負けちったー」とお金をせびりに来る。
「もうスロットやめるって・・・」と言いながらお金を渡すトミー。
先輩のおばさん(50代?)が訓戒する「あんたさーツトムンとの将来についてどう・・・」
「何も言うな!」とトミー。
「でもねーあれじゃさすがの野田さんも言いたくなるでしょ―?」とおばさん。
「そうですねーでは一つ言わせていただくとー」
「言うなつってんでしょ!」
「太宰治の『津軽』って文庫本に註釈が447個あるのをご存じですか?」と野田さん。
・・・さて、とんでもない導入から、どう展開してエンディングにもっていくか。
過剰にもならず、辛口でもなく、シュールでもなく、甘くもなくい、「人生」を感じさせる絶妙なエンディングである。

PS
最近の作品では、女性作家の方が「笑い」を追求した優れた作品を書いている。
(昔は、「笑い」は男性作家の方が、圧倒的に強かったけど)
次の作品が特にオススメ。
「テルマエ・ロマエ」ヤマザキマリ
「チャンネルはそのまま」佐々木倫子
「聖☆おにいさん」中村光