【ぼちぼちクライミング&読書】

-クライミング&読書覚書rapunzel別館-

「名画で読み解くブルボン王朝12の物語」中野京子

2010年05月30日 22時57分30秒 | 読書(ノンフィクション)
「名画で読み解くブルボン王朝12の物語」中野京子(光文社新書)

先月から予約して購入した。
オビの文句は『全点オールカラーで楽しむ250年のブルボン王朝史』
これは面白いよ・・・高校・世界史教科書の百倍くらい面白い。
学校の教科書なんて、私に言わせれば、『味の付いていない料理』のようなもの。
いくら素材が良くても、味が無かったら美味しくない。
だいたい教科書では、人物像を描かない・・・「どんなキャラクターなのか」とか「行いは良かったのか、悪かったのか」とか。
その点、中野京子さんは香辛料きかせた描写をしてくれる。
例えば、マリー・ド・メディシス。
次のように書かれている。
●「告白好きの人間は逸話が少なく、面白みもない」
●政治より自己陶酔が大事だったのだろうか?「見て見て、わたしを見て!」と主張せずにおれなかったのか。確かに、周囲の顰蹙に対して徹底して鈍感なのが、ある意味彼女の強みではあった。
●自意識と自惚れは強いが強烈な個性やカリスマ性に乏しく、周囲を平伏させる能力はなかった。
・・・いかがでしょうか?
もうぼろくそ、である。(だから面白い)

さて、私の好きな人物はアンヌ・ドートリッシュ。(まっ先に読んだ)
次のように書かれている。
アンヌ・ドートリッシュの人気が高いのは、女性としての魅力もさることながら、この母性、それも盲目的な愛ではなく賢明な愛を息子に与え、導き、偉大なる王にし、さらには息子からも深く愛されたという、その点にあるに違いない。
・・・う~ん、褒めてもらって嬉しい!

マリア・テレサについては・・・
「王妃になって以来、幸せな日はたった1日しかなかった」と言い残して44歳でみまかった。悲しい言葉だ。(中略)王妃の死を知らされたルイの感想は「彼女が余に迷惑をかけるのはこれが初めてだ」・・・さらに悲しい。

私にとって、興味深く、長年の疑問を解決してくれた文章がある。(P176-P178)
フランス革命→ロベスピエール→ナポレオン
この移り変わりを分かりやすく説明してくれているのだ。
さらにこの後、王政復古がくるがこれについても以下の説明がある。

かくも大量に流されたあの血は、いったい何だったのかという展開ではないか。徳川の大政奉還を知る身には、驚きとしか言いようがない。いや、それともむしろ日本の無血革命のほうが、よほど異常だったのだろうか・・・・・・。

ドラクロワ『民衆を導く自由の女神』についても興味深い。(P190)
ファイル:Eugène Delacroix - La liberté guidant le peuple.jpg
実は彼女は人間ではない。人間の姿形をとった抽象概念なのだ。
擬人像「自由」は従来、フリジア帽をかぶった女性として描かれるのが決まりである。


最後に総括。
栄華を誇ったブルボン王朝だが、こうして見ると、終わるべくして終わったとの感が強い。ルイ太陽王の過去の威光があまりにまばゆく、プライドばかりが肥大して柔軟性を欠き、自滅の様相を呈しての終焉だ。とはいえ壮大なヴェルサイユと、世界に対するフランスの文化的優位は立派に残したのであった。

以上、簡単に紹介したけどいかがでしょうか?
素材の調理が巧く、味付けも良く、盛りつけもバッチリ。
三拍子揃った作品を楽しんでみては?

【ネット上の紹介】
[要旨]
世継ぎの混乱と血みどろの宗教戦争に彩られた王朝の誕生から、十九世紀、ヨーロッパ全土に吹き荒れた革命の嵐による消滅まで、その華麗な一族の歴史を、十二枚の絵画が語りだす。『名画で読み解くハプスブルク家12の物語』に続く、ヨーロッパの名家を絵画で読み解く第2弾。

[目次]
ルーベンス『マリーのマルセイユ上陸(『マリー・ド・メディシスの生涯』より)』;ヴァン・ダイク『狩り場のチャールズ一世』;ルーベンス『アンヌ・ドートリッシュ』;リゴー『ルイ十四世』;ベラスケス『マリア・テレサ』;ヴァトー『ジェルサンの看板』;カンタン・ド・ラ・トゥール『ポンパドゥール』;グルーズ『フランクリン』;ユベール・ロベール『廃墟となったルーヴルのグランド・ギャラリー想像図』;ゴヤ『カルロス四世家族像』;ダヴィッド『ナポレオンの戴冠式』;ドラクロワ『民衆を導く自由の女神』

なお、姉妹編に「ハプスブルク家の12の物語」もある。
こちらもオススメ。

「RDG3」再読

2010年05月30日 12時00分18秒 | 読書(小説/日本)
「RDG3」を再読した。
(インターバル短かすぎ?)
でも、なんとなく読み返したくなったので。
(以下ネタバレ有り、ご注意)
今回興味深いのは、戸隠が舞台になっている、ってこと。
ウィキペディアによると次の伝説がある。

「戸隠(とがくし)」の名は、「天照大御神(あまてらすおおみかみ)が、高天ヶ原の天の岩戸に隠れたとき、天手力雄命(たじからをのみこと)が、その岩戸をここまで投げ飛ばし、世に光を取り戻した。」

故に、この伝説に基づくエピソードが展開される。
さらに興味深いのは、黄泉比良坂(よもつひらさか)も絡んでくる点。(ただし、作品の中では明記されず)
だから、天の岩戸と言うより、千引きの石(ちびきのいわ)の印象を受けた。
だから、最後は桃の実を投げつけるのか、と思ったくらい。
でも、その代わりに真打ちである姫神が登場。

あと、和宮の(陰ながらの)活躍が目立った。
深行と合体したのか?
カラスの姿で活躍して欲しい、という個人的な願望があるんだけど。
深行と和宮の関係はどうなっているのか?
気になる点だけど、次作で説明されるのかもしれない。

今回のエピソードにより、真響、真夏は泉水子にかなり感謝しているはず。
特に、真響は深い感謝と共に、泉水子の潜在能力に気づいたはず。
ただ、どの程度まで気づいたのかは不明。
真響の性格では、泉水子に直接質問して困らせるかも。
あるいは裏技を使うか?
これも次作で説明されるでしょう。

さて次作は、玉倉山に舞台が戻るのか?
それとも鳳城学園で始まるのか?
夏休み後半部分から始まるのか?
それとも新学期から始まるのか?
・・・いろいろ想像して楽しんでいる。