「大人のための昭和史入門」半藤一利/船橋洋一/出口治明/水野和夫/佐藤優/保阪正康
半藤一利がメインに書かれていると勘違いして借りてしまったが、
実際は、昭和史をテーマにしてアンソロジーのようなもの。
多くの方が執筆されているので、文章力もそれぞれ。
P167
ウォルツァーもまた戦争倫理学の押しも押されぬ世界的権威であり、『正しい戦争と不正な戦争』は合衆国陸軍士官学校で教科書に採用されている。原爆使用を倫理的に断罪する本が、エリート士官養成のテキストになっているのだ!(この本は、「キリスト教と戦争」「ハーバード日本史教室」でも言及されていた)
P183
「自国民(ユダヤ系ドイツ人)に対する行為」=内政問題であること、「戦争開始前における行為」も含むことの二点で、それは既存の戦争犯罪に収まらない行為だった。こうした特殊性のために、一般住民に対する非人道的行為を国際犯罪とする「人道に対する罪」がつくられるのである。
P186-187
真珠湾の奇襲攻撃があることから、日本については特に「平和に対する罪」を重視し、この侵略の罪状で起訴できない者は裁判にかけないことにした。「平和に対する罪」(A級犯罪)と「人道に対する罪」(C級犯罪)がともに重視されたドイツと違い、連合軍が日本の主要戦犯=指導者の被告人だけを「A級戦犯class A war criminals」と呼んだのは、このためだ。
【ネット上の紹介】
満州事変から歴史認識まで最強メンバーが論じる。教科書で習わなかった昭和史16の結論。第1章 特別座談会 世界史の中の昭和史
第2章 第二次世界大戦前夜(リーダーに見る昭和史 日本を滅ぼした「二つの顔」の男たち
満州事変 昭和6年(1931)―永田鉄山が仕掛けた下克上の真実
張作霖爆殺事件 昭和3年(1928)―軍閥中国は「イスラム国」状態だった
国際連盟脱退 昭和8年(1933)―松岡洋右も陸相も「残留」を望んでいた
五・一五事件 昭和7年(1932)―エリート軍人がテロに走るとき
二・二六事件 昭和11年(1936)―特高は見た「青年将校」の驕り)
第3章 第二次世界大戦勃発(日中戦争 昭和12年(1937)~20年(1945)―蒋介石が準備した泥沼の戦争
三国同盟 昭和15年(1940)―「幻の同盟国」ソ連に頼り続けた日本
日米開戦 昭和16年(1941)―開戦回避 チャンスは二度あった
原爆投下 昭和20年(1945)―ヒロシマ・ナガサキこそ戦争犯罪だ)
第4章 戦後とその後―第二次世界大戦の遺産(ポツダム宣言 昭和20年(1945)―日本は「無条件降伏」ではなかった
東京裁判 昭和23年(1948)―東京裁判の遺産
GHQ占領 昭和20年(1945)~27年(1952)―日米合作だった戦後改革
人間宣言 昭和21年(1946)―天皇・マッカーサー写真の衝撃
日韓歴史認識 和解が今後も進まない三つの理由)