「明治乙女物語」滝沢志郎
2017年度松本清張賞受賞作品。
時代考証、ストーリー、キャラクター、いずれも思った以上によかった。
エンディングまで一気に読めて楽しめた。
明治21年から22年、御茶ノ水・高等師範学校女子部、横浜、鹿鳴館が主な舞台。
幕末同様、テロと暗殺がはびこっている。
高等師範学校女子部に通う夏と咲たちは爆弾テロを阻止できるか?
P12
「みねちゃん、相変わらず編み物がお上手ですことね」
「うふふ、ありがとう、キンちゃん」
高等師範学科一年の小澤キンである。学科と級は違うが、みねと同年齢であった。後に「女学生言葉」「てよだわ言葉」などと呼ばれる奇妙な言葉遣いは、この頃から流行り始めた。
P87
「もしかして、部屋で読んでいたスタディ何とかという本?」
「“A Study in Scarlet"よ」
前年に英国で出版された、コナン・ドイルという医師兼作家の小説である。後年、『緋色の研究』の題で邦訳されるが、名探偵シャーロック・ホームズが初めて登場した作品として知られる。
P108
そして森(有礼)は、後世に残る言葉を発した。
「富国強兵の根本は教育にあり。教育の根本は女子教育にあり。国家の行く末は、女子教育の成否にかかるものと心得よ」
【ネット上の紹介】
明治中期、高等師範学校女子部に通う夏と咲たちは、鹿鳴館の舞踏会に招待を受ける。そこには暴徒の魔の手が忍び寄っていた……。