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【ぼちぼちクライミング&読書】

-クライミング&読書覚書rapunzel別館-

「少女」湊かなえ

2010年05月05日 09時48分26秒 | 読書(小説/日本)

「少女」湊かなえ(早川書房)

湊かなえさん第2作。
「告白」が強烈インパクトだったので、次作を読みたくなったのだ。
「できばえどうだろうか?」、とおそるおそる読んでみたが、杞憂であった。
勢い失速せず、完成度の高い作品であった。(見事!)
作品は2人の少女・由紀と敦子のモノローグから形成される。
例によって、技巧をこらした内容。
お互いのモノローグから、周りの人間関係や負の感情が浮き彫りにされる。
「事件」は夏休み中の出来事。
本来なら、2人は仲がよいので、会って話をしたら解決する事柄。
しかし、ちょっとした行き違いから疎遠になっている。
それがもどかしい。
物語が別々に進行し、一気に収斂するテクニックは見事。
「告白」と違って、2人の友情を描いているので、カタルシスはある。
でも、それだけで終わらないのが湊かなえ作品。
・・・それは、読んでのお楽しみ。
(キーワードは「因果応報」)

【ネット上の紹介】
〈ハヤカワ・ミステリワールド〉ベストセラー『告白』の著者が放つ、書き下ろし長篇。
高2の夏休み前、由紀と敦子は転入生の紫織から衝撃的な話を聞く。
彼女はかつて親友の自殺を目にしたというのだ。
その告白に魅せられた二人の胸にある思いが浮かぶ――「人が死ぬ瞬間を見たい」。
由紀は病院へボランティアに行き、重病の少年の死を、敦子は老人ホームで手伝いをし、入居者の死を目撃しようとする。
少女たちの無垢な好奇心から始まった夏が、複雑な因果の果てにむかえた衝撃の結末とは?


PS
今回の技巧は「駅から5分」を思い出した。
様々なエピソードがポリフォニックに関連し影響し合う。

PS2
タイトルが平凡なんだけど。
内容すばらしいんだから、タイトルを捻ったらもっと読者獲得できる、と思う。
(「ヨルの綱渡り」とかの方がマシじゃない?)

PS3
少女達の負の感情を閉鎖社会の中で描くと言えば、恩田陸作品を思い出す。

恩田陸さんは、タイトルのつけ方が上手い。
湊かなえさんと逆である。
タイトル素晴らしく、内容イマイチ・・・失礼、私の趣味に合わない、って意味。
(でも、「麦の海に沈む果実」「黄昏の百合の骨」熱烈ファンの方は多いらしい・・・私が変なのかもね)

PS4
これ以外に、思い出すのは次の作品。
(実は未読なので、いずれ読もうかなぁ、と思っている)


「江-姫たちの戦国」(上・下)田渕久美子

2010年05月04日 21時48分48秒 | 読書(小説/日本)

「江―姫たちの戦国」(上・下)田渕久美子(日本放送出版協会)

先日、予告したとおり「江」を読んだ。
これで、浅井三姉妹を描いた作品は、だいたい読んだ。
少女時代の描き方では、この作品が1番印象深かった。
姉妹関係の描写も不自然ではなく、なかなかよい、と思う。
でも、キャラクターに陰影が乏しい、一昔前の少女マンガのよう・・・元気なだけのヒロイン。
もう少し心理描写を何とかして欲しい、と感じた。
(TV向けなら、この程度で仕方ないか)
ただし、読みやすさでは、この作品が1番かな。
(普段、文字を読まないような方でもOKかも)
豊臣家が滅びていく詳細な描写では、秋山香乃さんの三部作・・・
「茶々と信長」「茶々と秀吉」「茶々と家康」が秀逸であった。
この三部作は資料の豊富さと消化の点でも優れている。
(不満な点もあるが、この作品が今のところベスト)
「美女いくさ」(諸田玲子)は1冊の中に、コンパクトにまとまっていた。
「乱紋」(永井路子)は基本図書、といったところ。
皆さんも、興味がわいたら、読んでみて。
(来年、TVで放映されるので、一足先にどうぞ)

 
PS
春日局は、どうも好きになれない。
私なら、即解雇、だ。

【ネット上の紹介】
大奥の潔い終焉を描き「篤姫ブーム」を巻き起こした田渕久美子が、大奥の始まりに至る道のりを、浅井三姉妹の三女・江を主人公に鮮やかに華やかに描く。


「悩んだときは山に行け!」鈴木みき

2010年05月04日 21時30分01秒 | 読書(マンガ/アニメ)
「悩んだときは山に行け!」鈴木みき(平凡社)

登山入門を兼ねたコミックエッセイ。
基本的な疑問に答えてくれる。
例えば・・・
山はどこにあるか?
どんな道具・装備が必要か?
服装はどうか?
山小屋の泊まり方。
消灯時間は何時?、風呂はあるか?トイレはどうか?、水はもらえるか?等。
コースの選び方。
トレーニングの方法。
山のルールについて。
・・・いろいろ分かりやすく解説されている。
コミックとしての面白さでは、先日紹介した「でこでこてっぺん」(ゲキの方が面白いけど、
知識・情報ではこちらの方が役に立つ、かな。


【ネット上の紹介】
山で人生変わった女子がおくる、“笑えて使える”登山コミックエッセイ。
第1章 山に恋しちゃいました!(地球まるくないじゃん―なにかがふっきれた24歳;山が足りない―山を求めてスキー場バイト;もっと山を!―読者モデルに応募してみた);
第2章 少しずつ山を知る(東京にも山がある!―雲取山へ初めての登山;山小屋で山を知る―三十路手前の山ごもり;初めての縦走―雲の上の一本道へ);
第3章 こんなに楽しい山の世界(ひとり登山のすすめ;まずは近くの低山へ;山では若いとほめられる;温泉に入るまで山は終わらない;酒と食の愉しみ;自分のスタイルを見つけよう;こんな男と登ってはいけない;テント泊という自由;悩んだときは山に行け!);おわりに―山は私の万能薬