「少女」湊かなえ(早川書房)
湊かなえさん第2作。
「告白」が強烈インパクトだったので、次作を読みたくなったのだ。
「できばえどうだろうか?」、とおそるおそる読んでみたが、杞憂であった。
勢い失速せず、完成度の高い作品であった。(見事!)
作品は2人の少女・由紀と敦子のモノローグから形成される。
例によって、技巧をこらした内容。
お互いのモノローグから、周りの人間関係や負の感情が浮き彫りにされる。
「事件」は夏休み中の出来事。
本来なら、2人は仲がよいので、会って話をしたら解決する事柄。
しかし、ちょっとした行き違いから疎遠になっている。
それがもどかしい。
物語が別々に進行し、一気に収斂するテクニックは見事。
「告白」と違って、2人の友情を描いているので、カタルシスはある。
でも、それだけで終わらないのが湊かなえ作品。
・・・それは、読んでのお楽しみ。
(キーワードは「因果応報」)
【ネット上の紹介】
〈ハヤカワ・ミステリワールド〉ベストセラー『告白』の著者が放つ、書き下ろし長篇。
高2の夏休み前、由紀と敦子は転入生の紫織から衝撃的な話を聞く。
彼女はかつて親友の自殺を目にしたというのだ。
その告白に魅せられた二人の胸にある思いが浮かぶ――「人が死ぬ瞬間を見たい」。
由紀は病院へボランティアに行き、重病の少年の死を、敦子は老人ホームで手伝いをし、入居者の死を目撃しようとする。
少女たちの無垢な好奇心から始まった夏が、複雑な因果の果てにむかえた衝撃の結末とは?
PS
今回の技巧は「駅から5分」を思い出した。
様々なエピソードがポリフォニックに関連し影響し合う。
PS2
タイトルが平凡なんだけど。
内容すばらしいんだから、タイトルを捻ったらもっと読者獲得できる、と思う。
(「ヨルの綱渡り」とかの方がマシじゃない?)
PS3
少女達の負の感情を閉鎖社会の中で描くと言えば、恩田陸作品を思い出す。
恩田陸さんは、タイトルのつけ方が上手い。
湊かなえさんと逆である。
タイトル素晴らしく、内容イマイチ・・・失礼、私の趣味に合わない、って意味。
(でも、「麦の海に沈む果実」「黄昏の百合の骨」熱烈ファンの方は多いらしい・・・私が変なのかもね)
PS4
これ以外に、思い出すのは次の作品。
(実は未読なので、いずれ読もうかなぁ、と思っている)