百醜千拙草

何とかやっています

口紅をつけた闘犬、吠えるばかりが能じゃなし

2008-09-05 | Weblog
引き続き、アメリカ大統領選のネタで恐縮ですが、アメリカ大統領選本選に向けて、共和党党大会がミネソタのツインシティーで開かれています。ミシシッピ川を挟んで隣接するミネアポリスとセントポールはまとめてツインシティー、双子の街と呼ばれていますが、先だっての民主党党大会で、マッケーンはブッシュ政権の継続に過ぎないと強調する民主党のクリントンは、ブッシュと双子のようにそっくりな政策をとるであろうマッケーンを批判し、マッケーンのノミネーションを正式に行う共和党の党大会がツインシティーで開かれることを皮肉りました。その共和党党大会で、昨日、例の副大統領候補のアラスカ知事、サラペイリンがノミネーションの受諾スピーチを行い、本日はマッケーンが締めのスピーチを行う予定です。当初共和党大統領候補として立候補したミットロムニー、マイクハカビー、ルディージュリアーニらのスピーチのあと、ペイリンがしゃべったわけですが、私の個人的バイアスを抜きにしても、どのスピーチもお粗末な内容でした。内輪で盛り上がるのはよいのですが、仮にも全国に放送される党大会のスピーチで、時期政権の具体的政策やプランは少ししか触れられず、一般国民にとっては、本当に共和党に政権となって生活が改善するのか、そのへんが全然わかりません。盛り上がっていたのは民主党の悪口を言っている時だけ、マッケーンの支持の根拠は、彼自身が軍人で捕虜の経験があり、長年ワシントンにいたというだけで、今後何をどうやってくれるのかについての議論は殆どなし。戦時中、腕を怪我しながらもお国のために戦ったマッケーンという、政治とは関係ない経歴で同情を誘うスピーチばかりで、これでは普通の頭を持っている国民は騙せないだろうと思いました。ペイリンのスピーチも空虚でした。最初と最後は闇雲にマッケーンを讃え、残りの半分は自分の家族の紹介と自分の経歴自慢、あとの半分はオバマとバイデンの悪口に終始しました。オバマの公約を聞いていたのかと思うほど、オバマの話をねじ曲げて、それを批判するのですが、批判するだけで何も具体的にどうするという話はなし。民主党党大会の舞台セットを揶揄してみたり、オバマの経歴の細かいところにケチをつけてみたりして、笑いをとったものの、それでは身内ではウケても、一般国民はシラケるだけでしょう。最もウケた話が、自分がPTAから政治活動に入った普通の母親だったということを紹介し、息子のホッケーを応援するホッケーママだったという話の中の冗談でした。アメリカの子供のホッケーを応援する親は熱心さのあまり攻撃的になって、他の子供の親としばしば場外乱闘になるというのは有名な話ですが、それを引いて、「ホッケーママと闘犬(Pit bull)の違いは、口紅をつけているかいないかだ」と述べ、アタックドッグとしての自分のアピールしました。早速、新聞はこのPit bullのジョークを使って、「オバマに牙を剥く闘犬ペイリン」という見出しで彼女のスピーチを紹介しています。私には、残念ながら、オバマに向かって吠えるだけの痩せ犬と見えました。誰かを攻撃することのみが存在理由みたいな人のようです。
 私は彼女の空虚なスピーチを聞いて、これでは国民はついてこないだろうと思ったのですが、アンケート調査によると、意外なことに、スピーチ前は7割近くがペイリンは副大統領には相応しくないと考えていたのに、スピーチ後は逆に6割近くが副大統領に相応しいとの回答であったそうです。これではアメリカ国民は共和党にナメられても仕方ないかも知れないと思ってしまいました。
 本日、マッケーン本人はさすがにまともなスピーチをするものと期待されますが、これまでの民主党の悪口で盛り上がり、内輪のウケ狙いに終始する空虚な党大会をシラケてみている国民にどうアドレスするのでしょうか。さすがに亀の甲より年の功でマッケーンは多少は、会場外の空気が読めているとは思いますが、オバマの言う通り、自分の持ち家の数さえ把握していないマッケーンは一般国民のことは何もわかっていない可能性もあります。
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