百醜千拙草

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誠実さと包容力の民主党新代表に期待

2009-05-19 | Weblog
予想通り、鳩山氏が民主党代表に選ばれました。岡田氏の敗因について、表に出ている点として、1.消費税増税を明言していること、2.検察批判に否定的な見解を述べたこと、などが議論されています。確かにこれらの点は、1.消費税増税は政府機関の無駄遣いを徹底的に無くすまでは議論しないと言い、2.小沢氏公設秘書逮捕後すぐ、逮捕の妥当性について検察批判をおこなった、鳩山氏と対照をなすものです。これらは実は末端に現れたこの二人の覚悟というか見識の差ではないかと私は思います。二人とも政権交代を危急の目標としているのは同じです。しかし、この二人の言動から感じることは、鳩山氏からは、「政権交代を通じて官僚支配の国民搾取構造を壊し、民主主義に基づく国民主体の日本の社会を実現したい」という視点が感じ取られるのですが、岡田氏からは、「政権交代して自分が首相となる」ということがあたかも最終目的であるかのような印象を受けます。つまり政権交代という「手段」を越えて、「国民や日本の社会のために」よりよい政治を実現したいという思いが伝わってこないのです。それが、消費税増税、検察批判否定、として表に出ているというように感ぜられます。
 増税論は、国民のために破綻しつつある年金を支えるための財源がいる、そのためには、増税しかない、という理屈なのですが、それは結局、国民の老後のためといいながら、まずは国民から金を取ることをもって、それに当てるのですから、謂わば、余計なおせっかいです。しかも、消費税からの税収を年金に当てるのでは、消費する人としない人との間で不公平だとも思います。それなら、いっそうのこと、年金システムそのものを廃止してもらって、個人での引退資金積み立てを義務化し、それに税制優遇を与える方がましだと思います。「金がないと何もできない」というのは、金持ちの理屈です。これまで、天下りの官僚のために巨額の税金を使って箱物を作ったり、企業を脅かしたりして、働かない人に多額の金銭を支給してきているわけです。そういう不正な金の使用を止める、それが第一でしょう。でなければ、ざるに水を注ぐようなものです。働かないのにお金がもらえる元官僚がいるということは、働いているのにピンハネされている人がいるということです。ピンハネされているのは、そういう利権構造と無関係な一般国民です。官僚は、長年にわたって作り上げてきた国民の税金をピンハネするという構造を今後も維持したい、と望んでいるわけです。官僚にとって、増税は善であり、無駄遣い見直しは悪です。となれば、安易に増税を口にする岡田氏と、増税を考える前にまずは支出を見直すという鳩山氏を比べれば、どちらが政権交代後の官僚政治解体に真剣なのか、自明ではないでしょうか。また、自分の党の党首が理不尽で不当な検察の横暴とそれを煽り立てるマスコミを使って、失脚劇を仕組まれたのに、検察批判を自ら封じるような権力迎合主義的発現は、次にもし自分が党首となった場合に権力の不当介入を恐れての保身的な発言と聞こえます。勝負の前から腰が引けてます。そのような人に官僚政治と戦えるのかという不安が出るのもむべなるかな、と思います。「政権交代のために身を捨てる」と言える人と、権力を恐れて自党党首が検察の不当捜査を受けたのにも係わらず、それに抗議するどころか、迎合するような発言をする人では、覚悟や見識の差を歴然と感じざるを得ません。
 もう一つ、鳩山氏について感心したことを書き留めたいと思います。鳩山氏は、今回の代表就任にあたってのTVインタビューで、「自立と共生」、「友愛」という言葉を使っていました。TVに司会者は、これらの言葉が漠然としていて分からない、とコメントしていましたが、私に言わせれば、これらの言葉が理解できないようでは「大人として失格」であると思います。「自立」は、人間がまず覚えねばならないこと、「共生」は自立した人間の「友愛」によって可能となるものであると、私は思います。以前、書きかけて、続きをまだ書いていないエントリー、「なぜCompassionが必要か」という話で、私はWayne Dyer(老荘思想家)の話を紹介するつもりでした。彼は自分の使命を、人々に人間にとって重要な三つのことを教え、広めることであると言っています。その三つとは、Self-reliance、Compassion、Forgivenessです。私はこれに深く同意します。社会の基礎は人間一人一人です。その一人一人がこのような資質を身につけ、実践することが理想です。鳩山氏の「自立」と「友愛」は、まさに、この人間としてあるために、必要な資質、Self-relianceとCompassionを言っているのです。そうした言葉を政治のスローガンに使うという点に、私は鳩山氏の人間としての誠実さを感じました。また、人間的にも政治家としても、いま一歩足りない岡田氏に対しての言葉や処遇においても、鳩山氏の包容力が感じ取られて好ましく思いました。政治家であれ何であれ、誠実であり、心の底から信じていることを口にすることができ、その信念に沿って裏表なく行動できる人間が最も強いのです。今回の鳩山氏のインタビューを聞いて、私は、鳩山氏に思いがけず、頼もしさを感じたのでした。
 今回の代表選挙での鳩山氏の就任は、国民にとって、正しい選択です。しかし、鳩山氏で選挙に勝てるのか、という不安はまだ残ります。小沢氏がこの後、どう動くのか、やはり選挙の帰趨は小沢氏にかかっているように感じます。
コメント
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