百醜千拙草

何とかやっています

人間性の進化とフランス大統領選

2017-05-02 | Weblog
さて、フランス大統領選挙、決定戦が間もなく行われます。中道派でEU支持のマクロンと極右国益主義のル ペン、現時点の下馬評ではマクロンが優勢とのことですが、予断は許せません。アメリカ大統領選のこともあります。一般投票で多数票だったクリントンが代表選挙制のためにまさかの敗北を着してトランプが勝ち、その結果、アメリカ国民は、この数ヶ月ですでにそのキチガイぶりを見せつけられました。一発逆転を狙って、ありえない目にかけた大衆の愚かさ故の自業自得と言えばその通りですが、十分にトランプの危険性を理解していた過半数のアメリカ人にとっては、たまったものではありません。

話がずれましたが、このフランス大統領選挙の結果によっては、EUすなわちヨーロッパの将来に大きな影響を与える可能性があると思うと、ル ペンが今、大統領になるのは、是非、阻止してもらいたい、と私は思っています。

いくらグローバリズムによって、賃金格差が出て、移民の流入によって中流以下の層が打撃を受けると言っても、経済的理由によって、ヨーロッパを分断化して己が利益だけを守ろうとするのは、明らかに誤った方向だと思わざるをえません。フランスの大衆がル ペンを選ぶのはアメリカがトランプを選んでしまったのと共通の理由からでしょう。彼らには今のアメリカの惨状をよく見てから結論を出して欲しいと私は思います。

将来的には、経済は大企業が属する国によって守られるのではなく、経済活動はサービス業を主体としたより個人的なものになっていくだろうと思われます。すでにビットコインやその他の地域地域通貨などの中央銀行を通さない通貨によって決済するマイクロ商業圏が日本を含む世界各地でできつつあります。インターネットのように情報も経済活動も個人同士でつながり合うことになるはずで、それこそが(現在の、大企業の都合で焼畑農業のように安い労働力を使い捨てにしていく経済的帝国主義とでもいうようなグローバル化ではなく)本来のグローバル経済というものだと思います。

EUは国益主義のヨーロッパ各国が血みどろの過去を乗り越えてヨーロッパ人としての未来を作るためのもので、人間性の進化という点で、間違いなく正しい方向であると私は思います。ところが大企業の都合に取り残され捨てられた階級の人々の不満は大きく、グローバル化そのものを諸悪の根源と盲目的に捉えてしまい、国益主義者の主張に同調してしまったのではないかと思います。

彼らは現状をぶち壊せば何か良いことが起こるのではないかという半ばヤケクソとなった上で、EUの離脱、トランプの大統領を選択したのだろうと想像します。ぶち壊すのではなく、問題を丁寧に一つ一つ改善していくという地道な努力が必要だと私は思います。

フランスがここで、ル ペンを選ぶなら、かなり高い確率でEUの崩壊がおこり、ヨーロッパは歴史を退行することになります。一般大衆の不満と怒りが、ヤケクソ的、暴力的解決を望むのに対して、多くの人々は理性と歴史的知識に基づいて広い観点から地球と人類のことを真摯に考えています。

トランプの就任100日に合わせて開催された全米での反トランプ デモの前代未聞の規模がそれを物語っています。「トランプが大統領なのが恥ずかしい」デモ行進に参加したジョン・ミッキーさん。国のトップを恥ずかしいと思うのは我が国も同じ。いくら彼らが遠からず政権から消えていくとしても、ダメージは残ります。フランスの今回の判断がEU崩壊につながりかねないと思うと、是非、慎重にやってもらいたいと思っている次第です。
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