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百醜千拙草

何とかやっています

Mind the Gap

2019-07-26 | Weblog
一年後のグラントのアイデアと計画をこの半年ほど、ずっと考えているのですが、なかなかいいものが出てこず、苦しんでおります。少なくとも締め切りの三ヶ月前ぐらいには、具体的な計画が煮詰まり、それをサポートする強い予備データも揃いつつなければなりません。逆算すると、もうあまり時間がありません。

審査する方がやる価値があると思ってくれる研究計画で、実現性の比較的高いものを出す必要があります。「やる価値がある」研究は、審査側の都合で決まるわけですけど、こちらには各審査員を選ぶ権利はありませんから、広く、分野の人々のコンセンサスに基づき、分野のニーズにあったものであり、ある重要な問題をうまく解決できる方法を提示する、という形で書くことが望まれます。

分野のニーズは色々ですけど、基本的には、隙間を埋めるものです。臨床のニーズだと、よい治療法がない、診断法がない、などの問題を細かく分析していって、その解決を阻んでいる穴に直接アドレスする、基礎研究であれば、ある知識とある知識の間にある隙間を埋めることによってよりcomprehensiveな概念を作る、応用研究だと、ある目的を達成するのにボトルネックとなっている部分の穴を埋める、などという形が考えられます。隙間を埋めて一続きにする、橋渡しをする、そういう研究計画が好ましいと思います。

思いつく研究アイデアから、これらの条件に合致しないものを外すと、1割も残りません。その中で、審査員をワクワクさせることができるもの、を探していくと、何も残らず、結局、振り出しに戻って、一からやり直し、と、このサイクルを延々と続ける羽目になっています。

ちょっと話が変わりますけど、しばらく前、初めてロンドンに行った人が、英語圏でありながらロンドンはいろいろユニークだと、地下鉄を例にあげて、話をしいてました。地下鉄は普通、サブウェイとかメトロと呼ばれると思いますが、ロンドンではその形状からTubeと呼ばれており、電車とプラットフォームの間の隙間に注意を促す、"Mind the gap"という駅の構内放送は名物になっているらしく、"Mind the gap"グッズもロンドン土産で売っているという話でした。多分、イギリス以外ではこういう言葉遣いはしないからでしょう。

グラントの心配をしながら、この雑談をしていたわけですが、研究計画を書く上では色々な現実的な制約にどうしても縛られるわけですけど、たぶん、一番大事なのは、これだな、と思いました。ニーズに応えること、それは、知識や臨床や技術の隙間を埋めることです。大きな隙間、小さな隙間、いろいろとあります。しかし、それを埋めることで地つづきにできれば、そこを大勢の人々が通ることができ、大きなインパクトがあります。

それで、私のグラントと研究のスローガンはこれにしました。

London Tube "Mind the Gap"

研究イメージ的にはこんな感じですかね。

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