百醜千拙草

何とかやっています

Think outside the box

2019-07-19 | Weblog
しばらく前、尊敬する知り合いの有名研究者の人と学会でたまたま会いました。普通はこの学会には来ない人ですが特別に講演で招かれたとのこと。十年ほど前に、遠くの大学の再生医療研究所の所長になって移ってしまってから、会う機会もなくなってしまいました。この方は分子別でやっていた世代の人で、臓器で言えば、脳、骨格、腎臓の発生学的研究をしていた人ですが、学会で会ったぐらいの頃、骨格系と脳の研究プログラムを閉鎖して、腎臓一本に絞ったので、その理由を聞いてみたところ、「腎臓病は有効な治療が乏しく、基礎研究も進んでいるとは言えない。自分は基礎研究者だが、施設を変わって腎臓病の患者さんと実際に関わることが増えて、腎臓研究により使命感を感じた」との話。

ついでに、厳しくなる一方の研究業界で、今後研究者はどういう風にやっていくべきかということも聞いてみました。これに関しては「Think outside the box」といういささか陳腐な答えが返ってきました。ま、しかし、競争が激しくなっているところで、カネなしヒトなしヒマなしの零細研究室が、皆と同じことをやっていたのでは将来はないし、中国のようにマンパワーに優れたところと力技では勝ち目はないわけで、誰もやりそうにないことをやらないと生き残れないのは、当たり前といえば当たり前です。そのためには、同じ分野の人々が思いつく限界を突き破ったところを目指すしか勝機はありません。

もう一つ英語で良く聞く表現に"Push the envelope"というのがあります。限界を内側から押し広げ、領域の外にある解を考えることによって限界の突破を図る、とくに零細研究室では、そんな研究をやるしか生き残る道はなさそうです。言うは易し行うは難しの典型例ですが。

一方、これらの戦略を大胆に行動に移したのが山本太郎。行動することは何よりも大切です。たった一人、政党要件も満たさず、メディアにも無視されつづける弱小政治勢力がこの三ヶ月あまりで成し遂げたことは、驚嘆に価します。原発事故から政治活動に飛び込むのにも躊躇しませんでした。そして参議院議員に当選してからの6年、地道に街宣をやり、炊き出しボランティアに参加し、専門家の門を叩いて経済を勉強し、国会ではアベ政権のデタラメを厳しく糾弾し、と並の人間の数倍もの活動を通じて基礎体力をつけてきました。そして、今回の参院選、野党の不甲斐なさを見て、大胆な戦略をとり、圧倒的な行動力で、組織に頼らず、一般市民献金によって3億という驚くべき額をあつめ、普通では考えつかないような人選と選挙戦略によって、10人の候補を擁立し、われわれを驚かし、興奮させてきました。まさに、outside the boxを考え、驚くべき行動力でenvelopをpushした結果です。そして、これらを成し遂げる原動力となったのは、彼の真摯な思いと情熱でしょう。これらの誠意と情熱に基づいた努力は、今回の選挙ではなくても、必ず形となって実るでしょう。(物理法則ですから)




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