百醜千拙草

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霊能者の遺伝的解析

2021-05-04 | Weblog
週末にツイッター経由で目にした論文。
アメリカにあるThe Institute of Noetic Sciences (IONS)という研究施設からで、この施設はアポロ14号計画での宇宙飛行士Edgar Mitchellが共同設立者の一人となって設立されたものだそうです。月面に立った時に「三昧の境地」を経験したそうで、1973年に施設をサンフランシスコの北の郊外に設立したとのこと。
論文はExploreという名の雑誌に掲載されElsevierから出版されています(https://doi.org/10.1016/j.explore.2021.02.014)。

Genetics of psychic ability - A pilot case-control exome sequencing study
(霊能者の遺伝学-症例対照エクソーム シークエンスのパイロット研究)
Helané Wahbeh et al.

抄録(DeepL翻訳を編集)
はじめに:多くの精神的・肉体的特性と同様に、心霊能力は家系的に発現すると考えられ、遺伝的要素の存在がを示唆される。もしそのような要素が見つかれば、心霊能力の生物学的マーカーとなり、この能力を増強または抑制する環境的または薬理学的な手段の同定につながると思われる。

研究方法:症例対照研究のデザインを用いて、霊能者と対照者の違いを評価した。全世界で3,000人以上の候補者を2つのオンライン調査でスクリーニングし、自分や家族が超能力者だと主張する人を探し出した。主張する能力に関連する尺度(吸収力、共感性、統合失調症など)を収集し、それらの回答に基づいて、精神病や妄想の傾向を示す人は検討対象から除外した。その後、候補者は面接で追加のスクリーニングテストを受け、最終的に13人が「霊能者」として選ばれ、年齢、性別、民族が一致し、霊能力をもたないと自己評価する10人が対照として選ばれた。これら23人の参加者の唾液から採取したDNAを、全ゲノム配列決定の対象とした。配列決定されたデータには、タンパク質をコードする配列のみを対象とした解析と、隣接する非コード配列も対象とした解析の2つの独立したバイオインフォマティクスを適用した。

結果:対照群の1例を除いて、すべてのサンプルでシーケンスデータが得られた。データセットの盲検化を解除したところ、タンパク質をコードする配列(エクソン)には、症例と対照とを区別するような変異は見られなかった。しかし、第7染色体のTNRC18遺伝子(Tinucleotide Repeat-Containing Gene 18 Protein)では、エクソンに隣接するイントロン(非タンパクコード領域)に差異が認められた。この変異は、GGからGAへの変化であり、9人の対照者のうち7人に見られ、すべての霊能者には見られなかった。

考察:これらの結果の最も保守的な解釈は、無作為に抽出された偶然の結果であるというものである。しかし、この結果を他の証拠と関連づけて考えると、この結果はより刺激的なものとなる。これらの結果を再現し、発展させるためには、さらなる研究が必要である。

、、、という論文です。遺伝的関連のない群を比べるのであれば、全部で23人の規模のWGSではちょっとPowerが低すぎますね。心霊能力がメンデル式に遺伝するなら、同一家系内で霊能者と対照者を比較すれば、何か見つかるかもしれませんけど。

どうせならその霊能者に霊能遺伝子のありかを聞いてみる方が早いような気がしますけど。
コメント
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