百醜千拙草

何とかやっています

あなたには価値がある

2021-05-14 | Weblog
5分間フランス語もはじめて九ヶ月近く続いています。多少の単語や表現や文法を覚えましたけど、まだまだとても使い物にはなりません。ま、特に使う予定もないのですけど。ただ、いいことも二、三あります。一つは運動と同じで、毎日の5分のノルマを果たすと小さな達成感を感じることができることです。多分、こうした毎日の習慣で何かに集中することは、瞑想と同じような効果があるのではないだろうかと思います。もう一つは、知らなかったことを知ることです。ものを知ること、わからないことがわかるようになることも小さな喜びです。この間はピーマンがフランス語(またはラテン系言語)のpimentからきていると知って「へーえ」となりました。ただしpimentは辛い唐辛子で、日本のピーマンやベルペッパーはフランス語ではpoivronです。ちなみに胡椒はpoivreです。他にもパンタロン、シュミーズ、マントとかの今は日本では使われなくなった外来語もフランス語由来であるのもこの五分フランス語を始めてから知りました。

この間、掃除をしていたら、モンマルトルのサクレクール教会に行った時のお土産のコインが出てきました。その時はいろいろとスランプで(いまだにスランプは続いているのですけど)、げん担ぎで「奇跡のメダル」を買いに行ったりもしたなあ、などと思い出しました。その効果はまだ出てません。この時はフランス語の知識はほぼ皆無で、最初からフランス語を理解しようという気持ちもなかったので、知らない故にいろいろなものを見過ごすことになったと思います。折角行ったのにサクレクール教会のSacre Coeur が「神聖なる心(イエスの心臓)」という意味であることも知りませんでした。そのお土産コインは500円硬貨を二回りほど大きくしたサイズで表は教会の建物が描かれており、裏には十字架の下に壺状の絵があり、その外を縁取って、短い言葉が印字されています。当時は何が書いてあるのか壺状の絵は何なのか分からなかったのですけど、五分フランス語のおかげで、今回は書いてある言葉の意味がわかったのでした。コインには、"Tu as du prix a mes yeux et je t'aime" とあり、直訳すると、「私の目にはあなたは価値を持っている。そして私はあなたを愛す」です。調べてみると、これはイザヤ書43-4の言葉でした。神の愛を示しています。

このコインを買った時には、コインの裏の壺のようなものが心臓であるとも理解できず、刻印してある言葉が聖書の言葉とも知らず、ただの小さな円盤上の物質に過ぎなかったのに、今は同じものが意味をもつ存在になっていることに感動しました。自信を失った時や不安になった時、「神の目には、人間は誰にでも価値があり、愛される存在である」という言葉は救いです。コロナ以降、いろいろなことがありすぎてちょっと参っていた私に、何気なしに買ったお土産コインが思いがけず再び現れて、救いの言葉を投げかけてくれたのかな、と思っています。5分フランス語の効用ですね。
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