百醜千拙草

何とかやっています

語学習得の困難

2021-09-07 | Weblog
毎日5分のフランス語を始めて、何と1年たちました。毎日の課題が徐々に難しくなったので、今では20分ぐらいかかりますけど、習慣というのは恐ろしいもので、朝のコーヒーのついでにやっていたら、一日も欠かさずここまで続きました。しかし、最初の数ヶ月と違って、学習のスピードは頭打ちとなってしまったようです。一年たっても、ごく簡単な会話でなければほとんど聞き取れませんし、しゃべれません。読んで理解するのはそれよりはマシですけど、書けません。

身近にフランス語ができる人がいて、時々、気を使ってフランス語で挨拶してくれますけど、コマサバ? サバビアン、ボン ジョルネで止まってしまいますから、これでは上達するはずがありません。会話のネタになるようなこと、例えば「政権交代が日本経済に及ぼす影響」とか「おにぎりの最高の具はなにか」とか「あなたは神を信じますか」とか、をフランス語で語れるぐらいでないと、会話にならんのでしょうね。当分はムリです。だいたい聞いたことが理解できないのですから。

英語話者だとフランス語をマスターするのに約800時間が必要なようですから、私だとその二倍ぐらいと見積もると、仮に毎日一時間でも数年はかかる計算なので想定されたスピードなのかも知れません。

学習の進歩が実感できないと、モチベーションが下ります。その問題点を自分なりに考えると、基本の文法と語彙の知識が十分でないことが原因ではないかと思います。語彙力や文法力をシステマティックに高める努力をしていないので、わからない単語が入っていたり、イレギュラーに変化したりすると、ついていけなくなります。英語の文法や語彙の知識で理解しようとすると、フランス語特有の文法は知っていないとダメですし、英語の同様の単語が違う意味に使れたりすることがしょっちゅうあるので、却って混乱します。

また、一年たっても基本的なことなのに知らなかったことが随分あります。英語にない場合に多いです。最近はある動詞の変化を調べていて、日常会話には使われないが、お伽噺や書き言葉で使われるタイプの過去形があることを知って驚きました。結局、一つの動詞が主語のタイプや時制によって20種類ぐらいに変化するのです。また関係詞の中でも動詞は異なる変化をします。

私の感覚ではフランス語の文法や語彙は英語の数倍は複雑です。ヨーロッパ系の人々が英語を簡単に習得できるのは、彼らの言葉との類似性に加えて、英語が彼らの言語よりもはるかに単純な言語だからでしょう。

私のようなレベルでもフランス語が聞き取れる場合は、コンテクストの理解がある場合です。話の流れがわかっていれば、文章中のキーになるいくつかの言葉が理解できると、その他の部分は推測できます。多分、日本語でも英語でも聞いて理解するいうのは頭の中でキーワードから推測をして、推測と実際の音との合致をを確認するという作業を高速でやっているのだと思います。

ところが、文法の知識や語彙変化の知識などが十分でなければ、その予測をしながら聞いた音を確認するという作業ができず、結果として理解不能になります。逆に正確に発音された文章を聞いて単語が完全に聞き取れた場合でも、文章の意味がしばらく理解できないこともしばしばあります。

結局、思うに、一日、五分ぐらいでは使いもののなるレベルの知識を得るには圧倒的に経験時間が少ないということだろうと思います。日常の会話で使われる語彙は限られており、そう難しい構造の文章を話すわけでもないのに、外国語学習者がなかなか聞き取れず話せないというのは慣れの問題と思います。慣れとはつまり記憶の蓄積のことで、おそらく、会話が成り立つようなスピードで文章を理解し、文章を話すためには、あらかじめさまざまパターンにそった数多くのテンプレートの文章が頭の中にすでに存在している必要があるのではないかと想像します。その都度、聞いたり話したい文章を単語と文法の知識で解析したり構築するのではなく、あらかじめそれらの文章のパターンに一番近いものを記憶の中のストックから取り出してパターンを認識するというやりかたをしないと、実用にはならないと思われます。昔、TVで、出だしの一秒を聞かせて曲名を当てさせるというクイズ番組がありましたが、聞いて文章を理解するというのはこれに近いものがあるのではないかと思います。最初の数語が発声された段階で次にどういう文章が続くのかが無意識に予測できるだけのパターンの記憶の蓄積がなければ、リアルタイムのコミュニケーションは難しいでしょう。

よく、英語などでも数百語を知っていれば大丈夫、みたいな本がありますけど、多分、それでは実際には使い物にはならないでしょう。結局は、その数百語の組み合わせでできるかなりの数のパターンを音と意味とともに一つ一つ覚え、そのパターンの一部を自分でも発音できるようになるという作業が必須であろうと思われます。

ま、私はフランス語を使って何かしたいという目的があるわけではなくて、ラジオ体操がわりみたいなものなのでこれでもいいのですけど。これが一通りおわれば、習得難易度と今度は実用性も考えて、次はスペイン語かインドネシア語をやろうかなと思っています。
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