来月の発表の録音をすませました。オンラインだと確かに会場に行く必要がなくて楽ですけど、会場の人の反応を見ながら喋るということができないので、やりにくいです。上半身だけドレスアップして、部屋の中を片付けて観葉植物を飾り、コンピューターの前に座ります。誰かが5メートル先で聞いている状態を想像しながら話します。
これはプレゼンテーションでの発声のコツを解説してあるいくつかのサイトから学んだ方法で、5メートル先にいる人がクリアに聞き取れるような声を意識して喋るとマイクを使って録音する場合でもちょうどよいようです。
私の声は普通に話すと声質が悪い上にこもるので、少しでもよく聞こえるようにと思いながら喋るのですけど、話の内容を追ってスライドを説明しながら、喉の奥を開けるとか少し大きな声でしゃべるとか、ということを常に意識しながら喋るのは難しく、喋っている間にいつもの冴えない喋りに戻ってしまいます。なので、5メートル先の人に聞こえるように喋るというのは比較的イメージしやすくよい方法だと思います。実際、5メートル先にふんふんと話を聞いている人がいれば、その人に向かって喋るでしょうし。
そうして録音した自分の声はやはり心地よいしゃべりとは程遠いですけど、死にたくなるレベルよりは多少ましでした。聞いている人は私が自分で思うほど声質など気にしていないだろうし、話の内容も多分2割ぐらい聞いていればいい方でしょうから、もっと気楽にやればいいのだろうとは思います。
今回のことで、Youtuberの人々の喋り方をちょっと注意して聞くようになりました。きっと何度もリハーサルをやって練習しているのでしょうけど、自然に感じのよい声でナレーションが入ると、内容にあまり興味がなくても聞いてしまいます。逆に必要な情報を得ようとビデオを探す場合でも、不必要にテンションの高い人とか、余分な冗談から入る人とか、妙に低調な人とかのビデオは避けています。必要な情報を無駄なく正確に聞きやすく伝えてくれるようなのが好きです。
それで思い出しましたが、ずいぶん昔、Jennifer Capriatiという女子テニス選手がいて、なかなかプレーはよかったのでしたが、世間では知能が問題視されたことがありました。その理由が喋りで、会見のときなどにやたら"filler words"と呼ばれる無意味な言葉が挿入されるのです。「あー」とか「えー」とか「いわゆるひとつのー」とかその手の言葉です。一分間にfiller wordsの典型句の "you know"を口にする頻度を数えたという記事もありました。
私も実感しますけど、優秀な人の発表には、こういう無駄な言葉がほとんど入らないのです。これは思うに、優秀な人は頭の中ではリアルタイムで言うべきことが推敲された上で整理されているからではないだろうかと思います。上手なピアニストが初見でも詰まらずに弾けるのと同じではないでしょうか。
Youtubeではナレーションがうまくて、内容が面白いので、つい見てしまうのが、クラッシック音楽のウンチクを語る「厳選クラッシックちゃんねる」で、この方はおそらく発声やプレゼンのトレーニングを本格的にやった人ではないだろうかと思います。私にはこのレベルのプレゼンは永久にムリです。