百醜千拙草

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A Lunatic State

2024-09-24 | Weblog
1980年代、イスラエルは内戦に乗じてレバノンに侵攻し、レバノン南部を占領し、パレスティナ人を排除しようとしました。それに対抗するために、二つの組織が合併してできた抵抗組織がヒズボラ(神の集団)です。「レバノンを帝国主義者と侵略者から解放する」と宣言し、1985年からの15年間、ヒズボラはイスラエルの占領軍と戦い、2000年についにイスラエルをレバノンから撤退させました。しかし、イスラエルはレバノン人捕虜の拘束、ゴラン高原近傍のレバノン領土の占拠を続けており、ヒズボラは活動を継続、やがて、ヒズボラはレバノンの主要な政治団体として活動するようになります。イスラエルに拘束されているレバノン人の人質解放を目指した活動が引き金になり、2006年、ヒズボラとイスラエルの戦争は再び勃発しました。そしてイスラエルは12,000人のレバノン人を殺し、そのうちの1/3は、やはり子供であったのでした。以来、レバノン南部とイスラエル北部の国境を挟んでの攻撃は継続しています。そして、2023年、ガザでのイスラエルのジェノサイドが本格化し、パレスティナ解放運動に連帯することは、ヒズボラの目標の大きな一部となっています。ヒズボラの活動はハマスとは関係がないと言うイスラエル擁護派もいますが、そんなことはありません。そもそもイスラエルがレバノンに侵攻しパレスティナ人迫害を行ったことがヒズボラを誕生させたのです。ハマスと同様、ヒズボラはイスラエルの不法占拠に対する抵抗勢力として生まれた集団ですが、政治勢力でもあります。しかし、帝国主義者やイスラエル寄りの西側メディアは、彼らを「テロリスト」と呼び続けてきました。ハマスやヒズボラの成立過程とイスラエルのやってきたこと見れば、イスラエルとヒズボラのどちらがテロリストなのかは自明でしょう。無差別に子供を殺しまくる「狂気の国」がテロリストでなくて何でしょう?

そして、先週、ネタニヤフがレバノンのヒズボラに対して攻撃を本格化すると宣言した翌日、ハンガリーでライセンス製造された台湾ブランドのページャーがレバノンで爆発し、死者が出たことが先週水曜日に報道されました。その翌日にはすでに製造が中止されている日本製のトランシーバーなども同様に爆発し、子供を含む市民の犠牲者がでています。ヒズボラがイスラエルに携帯電話を盗聴されるのを防ぐために導入した旧式の通信機器に、小型爆弾がどこかの流通経路で仕込まれたらしく、ヒズボラ、イラン、それから大手メディアはイスラエルのサボタージュであるとほぼ断定しました。どうもイスラエルは年余に渡りこれらの電子機器を仕入れて爆弾を仕込み今回のテロの準備をしてきたという話です。イスラエルは沈黙。世界のテロの裏にはCIAとモサドがいる、こういうのを撞着語法で「公然の秘密」というのでしょう。

今回のヒズボラを目標としたイスラエルの卑劣な無差別テロ、その後に続いたレバノン南部への無差別絨毯爆撃、そして、ガザの無差別攻撃をみても、ネタニヤフは狂っているとしか言いようがない。その狂人ネタニヤフは同様の精神構造を持つ一定の人々によってを支持されています。ちょうどヒトラーが大衆に支持されたように、彼を支持するイスラエル人も正気ではないのでしょう。

普通の理性と思考能力をもっていれば、見境なく周囲の国々にテロ攻撃を仕掛けるようなことがどのような結果を生むか、愚かな行いはやがて自分に返ってくるとこと、は分かるはずだと思うのです。気に入らない相手を一旦は、無理やり力でねじ伏せることができても、問題は、「その後」です。周りの国々を破壊し、数えきれぬ死体と人々の恨みの上に国家を建設して、永く平和に幸せに暮らせるとでも思っているのでしょうか?ネタニヤフが掲げるガザ再建計画は、中学二年生レベルの「妄想」以外の何物でもないです。このカオスからどうやって具体的にどういうプロセスで「妄想」を実現する気でしょう?私には、とりあえず死ぬまで戦争を継続するというのがネタニヤフの愚かすぎる戦略なのだろうとしか思えません。ま、そういうのを普通は「狂っている」というのですが。

以前からネタニヤフ政権を批判してきたユダヤ系アメリカ人政治学者のNorman Finkelsteinは、最近のインタビューで、ネタニヤフは「性格の歪んだユダヤ至上差別主義者のキチガイ」であり、ネタニヤフはイスラエルの社会を反映しているのだと、イスラエル全体を一緒に批判しました。それを聞いた時、私は、イスラエルに住んでいる人々も大多数はわれわれと同じ現代人であり、平和と安定を好む普通の人間なのではないだろうか、と疑問に思いました。

しかし、「類を以って集まる」という格言もあります。イスラエルに移住してくる人々のうちの半分ぐらいは、ポーランドから移ってきたネタニヤフ (本名 Mileikowsky) 一家と同様のメンタリティを共有しているのかも知れません。イスラエルという人工的に作られた国家そのものが、いわば統一教会のような信者からなるカルト集団であって、コア信者と二世、三世信者の少なからずが洗脳状態にあるという可能性も十分にあるのではないでしょうか。つまり、彼らは「中東では、神に選ばれた優れたユダヤ人がパレスティナの土地と劣った他人種を支配すべきであって、折伏せぬ者はテロをもってポアし、天国へ送ってやらねばならない」とでもいうような教義に洗脳された人々の集まりなのかもしれません。

下は、12年前に行われたBBCでのNorman Finckelsteinのインタビューの様子です。当時、意見が過激すぎると批判を受けた彼は、「これでも控え目に言っている方だ」と述べていますが、今日のイスラエルの振る舞いを見て、当時の彼の意見に同意せずにいるのは困難です。

「、、、イスラエルは狂ったように数年おきに周囲の国に戦争を仕掛けてきた。イラク戦争では旗振り役、それからレバノン侵攻、ガザへの攻撃、気狂い沙汰です。イスラエルの新聞を読んでみれば、『われわれは、ガザを攻撃すべきか、あるいは、レバノン、シリアを攻撃した方がよいのか』と言うような記事が毎日出ています。こんな国が他にありますか? 例えば、イランは他の国に戦争を仕掛けようと計画していますか?実際にこの10年でイランがどこかの国に戦争を仕掛けたことがありましたか?、、、、イスラエルでこのような政府が支持されているのは残念なことです。先週、ノーベル賞経済学者のPaul Krugmanが書いたNew York Timesの記事で、『イスラエルが国家的自殺に向かっていることは完全に明白だ。イスラエルは狂気の国になってしまった、これはユダヤ人にとっても世界にとっても良くないことだ』と述べましたが、私もこの状況を憂いています」

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