百醜千拙草

何とかやっています

Mearsheimer教授インタビュー

2024-10-01 | Weblog
通信機器を使ったテロ攻撃に続き、イスラエルがレバノン都市部への無差別絨毯爆撃で一日に500人以上という数の殺戮を行い、さらにヒズボラのリーダー、ナスララを殺害した先週でした。ニューヨークの国連前では、イスラエルに抗議しての巨大なデモ。国連総会でのネタニヤフの演説では半数の出席者が立ち去り、ネタニヤフに対する抗議の意を示しました。

このイスラエルの暴虐はアメリカがイスラエルを支援するのをやめれば終わります。中東平和の最大の障害になっているのは、イスラエル ロビーに操られるバイデン-ハリスのジェノサイド コンビと言えます。イランは、イスラエルの抑圧に抵抗する勢力を支援してきており、7月にハマスのリーダーを殺された時にイスラエルの報復を宣言しました。今度はヒズボラのリーダーです。イランも立場上ももはや何もしないという選択は無くなったと思います。

認知症バイデンと張子のハリス、そして対抗馬がトランプという絶望的なアメリカのリーダーシップですが、イランが行動を起こし、ヒズボラとフーチーが反撃を始める前に、アメリカはイスラエルのキチガイ沙汰をやめさせねばなりません。

ネタニヤフの意図は、状況を悪化させてアメリカを中東戦争に引き込むことでしょう。本気で状況を収めようとしているのなら、交渉によって協定を結ばねばならない対立組織のリーダーを殺すわけがない。ネタニヤフは交渉するつもりも人質を奪還するつもりもないということです。現在、この狂人をすぐに止めれるのはその共謀者であるアメリカだけと言ってよいと思うのですが、シオニストを自称するバイデンがその大統領ですから、現政権に「良識」は求むべくもありません。

アメリカにもかつては多少の良識があった頃もありました。ヒズボラが結成されるきっかけとなった1982年のイスラエルのレバノン侵攻時、イスラエルは例のごとく、レバノン市民の虐殺を行いました。それを止めたのが当時のアメリカ大統領だったレーガンで、その時の様子を描いた記事があります。

、、、、イスラエルを信頼できる同盟国だと考えていたレーガンは、レバノンで起きていることに憤慨した。 イスラエル軍は10日間にわたってベイルートを包囲し、8月12日には、11時間連続でベイルート西部を空爆した。
  ディーバーの提案で、レーガンはイスラエルの メナへム ベギン首相に電話をかけた。 「メナヘム、イスラエルのやっていることはホロコーストだ」とレーガンは言った。
 べギンは、「大統領、ホロコーストとは何か、私は知っているつもりです」と冷笑的に答えた。
 レーガンは譲らず、更にベギンに爆撃を止めるように言った。 すると、20分後にベギンから電話があり、イスラエル軍に攻撃中止を命じたと、伝えられた。 レーガンは礼を言って電話を切り、ディーバーに言った。「私にこんな力があったとは知らなかったよ」、、、、

唯一、イスラエルを止める力を持っている立場にいる人間が、耄碌したシオニストのバイデンと、中身が空のハリス、どう考えても、彼らがネタニヤフを止められるようには思えないです。まして、彼らはイスラエル ロビーに逆らえば、政治生命どころか物理的生命も危ないと思っているでしょうし。

イスラエルは、ほぼ一年にわたってガザを攻撃し、推定20万人のパレスティナ人を殺害し、ハマスのリーダーも殺害したのに、ハマスを根絶することはできなかったのです。まして、ハマスよりもより強大なヒズボラを根絶することはできないのは自明だし、仮に彼らを抑えつけても、イスラエルによるアラブの不法占拠が続く限り、イエメンの抵抗勢力やイランといった国々はヒズボラやハマスを支援し続けるでしょう。なぜなら、抑圧者のイスラエルにではなく、イスラエルの不法占領によって権利を侵害されてきたパレスティナ人にこそ、自己防衛の権利があるからです。

現在、なぜイスラエルは、長期的には自滅にしか繋がらない攻撃を周囲の国々にし続けるのでしょうか。ウクライナも同じですが、攻撃をやめて、話し合い、お互いが妥協できる点を見つけるという大人の対応ができないのは、想像するに、これらの国のリーダーが、みみっちい動機、すなわ「保身」によって動いているからではないかと思わざるを得ません。

すでに汚職で告発され、世界中から凶悪戦争犯罪人として非難されているネタニヤフ、ロシアとの交渉を拒否し続け、50万人というウクライナ兵士を無駄死させ、ウクライナという国を消滅の危機にまで追い込んだ臨時大統領のゼレンスキー、戦争が終われば、二人とも裁かれ、失脚する運命です。逆に言えば、戦争を継続することでしか、彼らは自らの政治生命、社会生命、あるいは生命そのものを保つことができないと、彼らは思っているでしょう。

先日、ゼレンスキーはトランプタワーでトランプと会談、その後の会見で、トランプが「私とプーチンとは良い関係にあるから、大統領になったら、私がウクライナ戦争を終わらせる」とシレッと言った時、「私たちとの方がもっと良い関係だよね?」と慌てて割って入ったゼレンスキーには笑えました。ゼレンスキーの運命は時期アメリカ大統領選の結果にかかっているわけですが、ネタニヤフに引導を渡すには世界全体の市民の圧力が頼りです。

さて、本題。先週のPiers Morganのショーでのシカゴ大の政治学者John Mearsheimerのインタビューの一部を紹介します。これはイスラエルがヒズボラへの攻撃を激化する直前のものです。

Mearsheimer氏はコロンビア大のJeffrey Sacks氏と並んで、外国政策の専門家で、中東、ウクライナ情勢に関しては、この二人はほぼ同様の意見を共有しております。ロシアに対しては二人ともロシアは(アメリカが挑発しない限り)脅威ではないと考えている一方で、中国に対してはMearsheimerは中国が北半球でのヘゲモニーをアメリカと争う可能性を危惧しているようですが、Sacks氏は中国も脅威ではないとする点で差があります。

私はSacks氏と同じく、アメリカが煽らない限り、ロシアも中国も基本的に帝国主義的な振る舞いはしないと思います。ロシアはすでに広大な土地と天然資源を持ち、プーチン自身が言う通り、自国の安全が保障される限り、わざわざ外国に戦争を仕掛ける動機がないですし(ウクライナへの侵攻はこの理由)、中華思想が浸透している中国もわざわざ(日本も含む)辺境の未開の土地を侵略してわがものにしようとする動機が薄いでしょう。世界との貿易で成り立っている中国にとって、外国と喧嘩して得られるものは損失のみと中国人は計算しています。そもそも、ロシアは領土を広げる必要がないし、14億の人口を持つ中国の政府は自分の国をなんとか統治するだけで精一杯というのが本音ではないでしょうか。

戦争をすれば、自身も大きなダメージを受けます。ウクライナがよい例です。先日、トランプが語ったように、ウクライナはほとんど崩壊しました。私はトランプという男のほとんど全てが嫌いですが、次期米国大統領としてカマラ ハリスか彼のどちらかを選択せざるを得ないとしたら、鼻をつまんで、彼を選ばざるを得ないと感じます。どちらがやってもカタストロフィックな未来になるかも知れません。トランプの幼稚な性格と予測不能さは子供が火遊びするように危険です。しかし、このまま放っておけば、人類全体が焼け死ぬことになるような火遊び(ウクライナ戦争からの核戦争)を継続するとの予測が確実なカマラ ハリスよりは、ウクライナ戦争を終わらせると言っているトランプの方がマシと言わざるを得ないような気がします。私としては、諸悪の根源である軍産やイスラエルと縁を切ることができる共和党でも民主党でもない団体、(日本で言えば、アメリカ、経団連、統一教会に操られていない政党)にやってもらいたいと思っておりますが今のところムリそうです。

この番組は、インタビューアのピアスが、西側プロパガンダに沿って(ショーの演出のためと思いたいですが)バカな質問をするのを、専門家が冷静に料理するという仕立てになっています。


以下、各論点におけるMearsheimer氏の反応のまとめ:

1)イスラエルとヒズボラの戦闘について
「イスラエルは大きなトラブルにある。彼らがガザのジェノサイドを継続する限り、ヒズボラはイスラエルを攻撃しつづけると主張している。イスラエルはガザでの攻撃を止めるつもりはないから、ヒズボラの攻撃は続く。、、、いくら激しくヒズボラを攻撃してもヒズボラがイスラエル攻撃を止め得るという確証はないし、イスラエルは(レバノンに地上侵攻して)ヒズボラを力でねじ伏せるだけの力はないだろう。イスラエルに有効な戦術はない、、、」

2)イスラエルが電子機器に爆弾を仕掛けてヒズボラを攻撃したのは戦争犯罪にあたるか?
「無差別に市民の犠牲を生むような形の攻撃は『戦争犯罪』にあたる。こうした攻撃はテロである」

3)ハマスやヒズボラのテロ攻撃はイスラエルの国家存続の脅威ではないか
「10/7の攻撃は突然に起きたのではない。イスラエルはアパルタイト国家で、ガザは天井のない監獄であって、ガザのパレスティナ人はイスラエルにずっと抑圧されていた。彼らが監獄から出ようとテロという手段を使ったのだ、、、、、イスラエルが軍事力を使ってパレスティナを抑圧してきたのである。圧倒的な軍事力の差がある中で、ハマスやヒズボラ、あるいはイランがイスラエル国家存続の脅威だというのはバカげた議論だ」

4)ハマスやヒズボラがなくなったら中東は平和になるのでは?
「ハマスやヒズボラは人種差別国家であるイスラエルのパレスティナ人抑圧の結果として起きたものだ。イスラエルが態度を改めない限り、彼らは何度でも立ち上がる」

5)アメリカ大統領選が中東およびウクライナ情勢に与える影響について
「トランプであれ カマラ ハリスであれ、中東政策は同じだ。彼らは継続的にイスラエルを無条件に支援するだろう。しかし、ウクライナについては話は違う。さっき言ったように中東に関しては、彼ら(民主党と共和党)はTweedledeeとTweedledum (「不思議の国のアリス」に出てくる双子のキャラクター)だ。中国に対しても同じスタンスだろう。ウクライナについては、ハリスはこれまでのバイデンの方針を踏襲するだろうが、トランプは、ロシアと合意をして戦争を終わらせようとするだろう。トランプはどっちが勝とうが気にしない。だから、もしも、(これは大きな仮定だが)トランプが勝ってその政策を実行できるとしたら、トランプはハリスとは全く異なったように振る舞うだろう」

5)あなたは、ウクライナが敗戦を受け入れて戦争を終わらせることが望ましいと主張しているようだが?
「倫理的観点からは、これ以上、ウクライナに兵器を供与して戦争を長引かせるべきではないと思う、、、現実は、ウクライナは戦闘において、ひどい敗北を被りつつある。この状況をひっくり返すことは無理だ。そして、ウクライナの被害は戦争が長引けば長引くほど、悪くなるだけだ。戦争は確実にロシアの勝利に終わる。西側諸国とアメリカがウクライナにより多くの兵器を供与して彼らの戦闘を継続させればさせるほど、ウクライナはより多くの領土を失い、より多くのウクライナ人が死ぬことになる。倫理的に正しいことは、一刻も早く戦争を終わらせることだ」

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