百醜千拙草

何とかやっています

お騒がせの人々

2012-10-19 | Weblog
先日のオバマ、ロムニーの二回目の公開討論、タウンホール形式で、一般人の質問に答えるというスタイルで行われました。オバマは前回とうって変って非常に攻撃的でした。多分、初回におとなしすぎたので、カツを入れられたのでしょう。
 二人とも、ほとんどの質問にマトモに答えていません。答えられないのでしょう。エネルギー政策を推進しているのにガソリンの値段がこの数年高いままなのは何故かという質問に対し(ガソリンやものの値段は一般人にとって大きな関心ごとであります)、オバマは答えをはぐらかし、エネルギー政策の一般論へすり替えていったところが私には大きなマイナス点でした。ロムニーの最大のマイナスは税制でしょう。ミドルクラスの減税をすると言いながら、ミドルクラスの税率を裕福層の税率まで下げるだけで、それで不足になる税収は、控除や手当を削除して捻出すると言い、国防費などの支出は増やすと言っていて、それで既にある財政赤字をどう減らすつもりなのかという当然の質問には具体的に答えられませんでした。自分が金持ちなので金持ち優遇税制そのものには触りたくないのでしょう。これまでのところ総じて、オバマ陣営が優勢と思います。来週の討論でオバマが大ドジを踏まない限り、オバマ再選の可能性が高いだろうと思います。

さて、ちょっと前の話、iPSの臨床初応用というガセネタでお騒がせしている人、私、クローン人間を作ったと発表して何年か前に世間を騒がせたどこかの怪しい会社を思い出しました。ちょっとパブメドでこの人の業績とか見てみると、超一流雑誌に複数、原稿が掲載されているのでオッと思ったのですが、よく見るとそれらは原著論文ではなく、その雑誌に載った別の論文などへのコメントのようなもので、これは研究業績とは言えないものです。つまり、研究の中身よりも何よりも超有名雑誌に自分の名前が印刷されるのがうれしいというタイプの人のようです。ある意味、気の毒な人です。すぐわかるウソをついてまでも満たしたい病的な虚栄心に支配されてしまっているのですから。家族とかがいたらもっと建設的な方向にエネルギーを向ける事ができたのかも知れません。私は、この人よりも、このようなタブロイドネタで毎日のように紙面を埋めて、国に都合の悪い重大ニュースの煙幕がわりに使っているマスコミの方がもっと悪質だと思っていますが。

お騒がせと言えば、研究不正を告発されて、T大を辞めたK先生、先週末から今週のはじめにかけてあった学会にやってきて講演したのだそうです。私、K先生の業績は大したもので、多くの仕事は信頼できるものだと思います。しかし、多額の税金ベースの研究費を使って行ってきた研究の研究不正を告発され、みずから辞任したのに、その後は不正に関する説明もなしで、何事もなかったかのように学会にやってくるというのは「いかがなものか」というのが私の正直な感想です。(私、「いかがなものか」というものの言い方が大嫌いなのですが、この場合、他になんと言ってよいのかわからないので)今回の学会、聴衆の8割は日本人ではないので事件を知らないとでも思ったのでしょうか。実は日本以外でもウチの分野では大変話題になりました。大体、狭い世界で、ちょっと名前の知れている人なら、家庭問題のウワサでさえ学会内で三日もたたずに広まるような所です。今回の学会のK先生の講演のセッション、座長をやったアメリカ人ももちろん事件は知っていました。事件後にT大を辞任したにも関わらず、K先生が学会などにやってきて講演していることに随分驚いていましたから、世界的にも非常識な行動ということでしょう。
 思うに、大多数の研究者は誠実に研究していると思います。そもそも論文を出すのは研究の成果を発表するためで、論文を出すのが研究の目的ではないというのが原理ですし。それでも業績が研究費やポストに直結している現状では、ウソのデータでもインパクトのある雑誌に論文が載りさえすればよいと思う人間も少なからずおります。だからこそ、ルールがあり、それを破るとしばしば厳罰が下ります。研究は泥臭い職業です。いろいろ仮説を考えて、あれこれ実験して、それでも9割の確率で期待したようなデータが出ないで、一からやりなおし。それが私や私の周囲の人の日常です。であるのに、フォトショップでデータをちょこちょこいじくって都合の良い話をでっち上げて論文を出版し、それをもとに研究費を稼ぐようなことが大した罰則もなく行われるのなら、真面目に誠実にやっている研究者は浮かばれません。しかし、日本の官僚や政治家を見ていると、高潔さとかIntegrityとかに無縁の人が多いですから、T大教授もご同様なのかも知れません。私は学会休みましたが、行った人に聞いてみると、さすがにK先生の講演、会場の雰囲気は冷たかったそうです。どうもK先生は既に研究のためのリソースにアクセスできるような環境にはないらしく、講演の質も良くなく質問も全くなかったという話でした。
 私、実は、ちょっと心配しています。順風満帆で成功を絵に描いたような人がヒョンなことでつまずいてポッキリいってしまう例を少なからず見聞きしています。K先生の往年のライバル、U先生もあれほど優秀だったのに研究のスランプからか不幸なことになりました。K先生に関しては、しっかりと取るべき責任はとって、新たにやり直してもらいたいと私は個人的に思います。
要らないことを書きすぎました。もうゴシップはやめます。

若松監督死去。近年は社会派、原発問題などを取り上げ、国家の闇と戦うと宣言し体制批判を続けていました。70歳台の人が運転するタクシーではねられたという情報だけですけど、やはり、勘ぐらずにはおれません。体制にとっての邪魔者は消される国ですからね。自殺や病死を装う手口が多いと思いますが、石井紘基議員のように「暴漢」を使って暗殺という露骨なのもありました。この加害者の人がどういう人間なのか、詳しく知りたいですね。本当に事故なのかどうか。

映画と言えば、シルビアクリステルさん、60歳で死去とのニュース。エマニエル夫人、当時私はこの映画を見れる年齢ではなかったので映画を見ていませんけど、1も2もテーマ曲は好きでした。2の方はフランシス レイの作曲で、フランシス レイ本人とシルビア クリステルがデュエットで歌っていました。シルビア クリステルがフランス語で囁くように歌うのですが、唯一わかった言葉は「je (suis) tres bien」、子供心にも大変エッチに聞こえました。当時、映画音楽と言えばフランスのフランシス レイとイタリアのニーノ ロータがヒットを量産していました。そのころは、西洋映画は知的な娯楽で、映画音楽はその大切な要素でした。インターネットのなかった時代、西洋の情報量も今とは比べ物にならないほど少くて、普通の人にとって洋画は世界を見るための窓のようなものでした。私はその小さな窓から除く世界をあれこれを想像して楽しむのが好きでした。想像の中では世界は理想化されて現実の醜さは見ずにすみました。今ではそうはいきません。聞きたくない話も瞬時にして入ってきます。思えば豊かでロマンティックな時代でした。

Youtubeで見つけました。
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