tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

暗越え奈良街道

2007年10月01日 | 奈良にこだわる
暗(くらがり)越え奈良街道は、生駒山を越え大阪に至る古道である。

大坂街道ともいうこの道(現・国道308号線)は、奈良市の中心を走る三条通りを起点とし、矢田丘陵の榁木(むろのき)峠、南生駒、暗峠(くらがりとうげ)を経て河内、難波に至る。

暗峠の生駒山上付近(=写真)には100mほど石畳が残され、「日本の道百選」にも選ばれている。名前の通り、今も道端には所どころ樹木や竹が鬱蒼と生えて暗いが、江戸時代でも治安は悪く、西鶴の『世間胸算用』には追い剥(は)ぎに襲われた話が出ているそうだ。

芭蕉は晩年(死の1か月半前)、この峠を越えて大阪に戻った。時は1694(元禄7)年9月9日・重陽の節句だった。51歳の芭蕉が詠んだ句が「菊の香に くらがり通る 節句かな」 だ。それにしても、この急坂を晩年に歩くのはさぞつらかったことだろう。

私は昨日(9/30)、奈良市の砂茶屋から車でこの道に入り、追分梅林を越え、南生駒からさらに細い道を登ってこの場所にたどりついた。信貴生駒スカイラインをくぐり抜けてすぐの所で、正面に府県境の標識が見える。霧雨の降る夕方で、しっとりとした風情があった。

道を通る人もまばらで、何人かのハイカーや地元の車とすれ違った程度の静かな街道である。主要道から少し入るだけで、こんな静かな道が残っているのが奈良の良いところだ。もう少し秋が深まれば、歩いて大阪へ行ってみようかなと思っている。晩年の芭蕉に、負けてはいられない。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする