tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

奈良まほろばソムリエ「語り部集い、ツアーを構想」(日本経済新聞)

2012年01月24日 | 奈良検定
恥ずかしながら、昨日(1/23)の日本経済新聞朝刊「街かど人物館」欄で、私の「奈良まほろばソムリエ友の会」事務局長としての活動を紹介していただいた。見出しは「語り部集い、ツアーを構想 奈良 歴史ソムリエ」である。

「会員どうしの交流にとどまらず、観光客向けにツアーを催すなどして奈良の情報を全国に発信していきたい」。昨年6月に発足した民間グループ「奈良まほろばソムリエ友の会」(奈良市)の事務局長、鉄田憲男さん(58)は力を込める。まほろばソムリエとは、奈良県の歴史や文化への精通ぶりを認定する「奈良まほろばソムリエ検定」の最上級の合格者。会にはこの3年間に誕生したソムリエのうち154人が参加。月に2~3回、史跡や社寺を訪ね親睦を深めるとともに、講演会や学校の授業で語り部を務めている。

奈良まほろばソムリエ友の会は、従来の解説ボランティア団体とは違った特色を打ち出すため、観光客の求めに応じてガイドを行うことよりも、地元講演会への講師派遣、高校での出前授業、「ニッチでマニアック」なツアーの実施、またそのための自主的な研鑽活動などに力を入れている。

平城宮跡を案内(10.11.7)

奈良各地には普段見られない秘仏など「本物の歴史」が残っているが、多くはあまり知られておらず「奥ゆかしいというかPR下手。会の活動を通じ紹介したい」という。今年は「古事記」完成から1300年、2020年は「日本書紀」完成からやはり1300年。奈良県は12~20年に「記紀・万葉プロジェクト」を展開する。鉄田さんは「まず会員をガイド役に、古事記ゆかりの地を訪ね歩くツアーや勉強会などに取り組みたい」と想を練っている。

記紀・万葉プロジェクトと歩調を合わせ、現在、友の会有志で「神武東征伝」(日本書紀)を読む勉強会を実施しており、春には神武東征ゆかりの地(聖蹟)を訪ねるバスツアーも予定している。2月の会員向け交流会(約100人が出席予定)では、記紀にまつわる2本立ての講演会も開催する。

上と下の写真は、「ミシュランで知った!奈良にうまいものあり」講演会(11.12.11 撮影)

会員数は毎年50人ずつ増えていくと予想されるので、3年後には300人、7年後には500人の大所帯になる。そのためにはシッカリした受け皿を作らなければならない。現行の友の会は任意団体であるが、近い将来にはNPO法人化し、組織体制の整備と社会貢献活動の強化を図ることを検討している。NPO法人への移行作業は煩雑だし、移行してからの決算書作成や総会・理事会の運営は大変なのだが、社会的な信用を得るためには、ぜひとも必要なプロセスである。

そのためにも、一層の会員のレベルアップが必要である。「最上級資格であるソムリエに合格したから、これで終わり」ではなく、切磋琢磨して、話術やガイドのスキルを磨き、(ソムリエ試験には出ない)記紀や地元に残る民話・伝承などの知識も、身につけなければならない。


近年、生涯学習とか社会教育という言葉をよく耳にする。「余暇の最高の過ごし方は、勉強である」と豪語する人もいる。だから講演会やガイド付きツアーに参加する人は多い。確かに、「school」の語源は「schole」(暇)であり、学校とは「暇つぶしの場」だった。Wikipedia「学校」によると《英語 school(スクール)の語源は古代ギリシャ語で、schole(スコレー、暇)。古代ギリシアや古代ローマの「市民」(市民権をもつ男。裕福で、労働は奴隷がおこなう)が、音楽や芝居、議論を楽しんだり、スポーツを嗜んだりする暇な時間、そしてその暇つぶしの場所から由来し、ラテン語でそれをschola(スコラ)と訳したのが直接の語源》とある。

それは極論としても、「奈良まほろばソムリエ」には、これまで学んだことを社会に「還元する」という役割が求められていることは確かである。奈良の語り部が、「何を」「どこで」「誰に」「どのように」語り継いでいくか、ソムリエの真価が問われている。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする