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tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

観光は感動の創造:観光地奈良の勝ち残り戦略(60)

2012年06月18日 | 観光地奈良の勝ち残り戦略
※旅先で楽しみたい料理ベスト(夏のボーナスと外食・旅行に関する意識調査)

「NPO法人スマート観光推進機構」理事長の星乃勝さんから、メーリングリスト経由でこんな情報をいただいた。株式会社ぐるなびが実施したインターネット調査の結果発表である(太字は私がつけた)。

ぐるなびが「夏のボーナスと外食・旅行に関する意識調査」をされているのでご紹介したい。まず、夏のボーナスを全額自由に使える人の割合は、男性18.0%に対し、女性39.3%と高い。既婚者の場合、奥さんに任せているなどの影響もあるようだが、女性のほうが自由に振る舞える傾向が表れている。

夏のボーナスでの外食に関する意識では、家族へのご褒美・感謝は、男性39.2%に対し、女性29.9%。自分へのご褒美は、男性29.0%に対し、女性51.3%となっている。既婚者によって回答は異なるのだろうが、女性のほうが「自分へのご褒美」と意識する方が多いことが読み取れる。また、夏のボーナスで外食したくないと答えた方は、男性30.4%に対し、女性15.4%おられる。それでも、外食に対する予算は、普段の予算より2,206円アップして6,561円とほぼ5割アップになっている。

ボーナスが出ると旅行したい方が多い。旅行先でどのような料理を楽しみたいかの設問では、郷土料理・名物料理が69.7%、その土地の食材や名産物を使った料理が62.1%をしめている。

この結果は当たり前のように思われるかもしれないが、観光客の希望であって、料理を提供する側に、十分、伝わっていないのではないかと思う。郷土料理に使っている食材や調理法など、観光客は知らないことが多い。説明がなければ口にすることさえできない場合もある。宿の女将さんのちょっとした一言で、美味しくもなるものである。

別の調査によると、レストランでシェフが挨拶したり、料理に関する説明などのコミュニケーションがあると94.4%の人が、お店の印象が良くなると答えている。「食」は、食材が良くて、調理法が優れていればおいしい料理が提供されることに間違いはない。しかし、ここに「人とのコミュニケーション」が加えられて、感動が生まれ、よき想い出が生まれるのではないだろうか。「観光」は、この「感動」を求める行為であると言える。


うーん、なるほど。「観光」も「食」も感動を求める(期待する)行為であり、そこに「コミュニケーション」が加えられて完成する、とはまさに至言である。旅先で、郷土料理・名物料理や地場食材を使った料理が食べたいというのは、単に美味しいものを食べたいというのではなく、その土地の生活文化や歴史を味わいたいということであり、土地の人とコミュニケーションしたいということなのである。「奈良にうまいものなし」という誤解が広まったのは、もしかすると「大仏商法」という流言とペアになっているのかもしれない。

リーズナブルで美味しいものを食べたいのなら、大阪に行けばよい。雅(みやび)な雰囲気のなかで料理を味わいたいのであれば、京都に行けばよい。世界各国の料理を堪能したいのであれば、東京に行けばよいのである。「旅先で料理を楽しみたい」というのは、その土地の歴史文化と人情を味わいたいのである。その根幹を誤解していては、いくら「奈良のうまいもの」を掘り起こしても創造しても、意味がない。まさに「仏作って魂入れず」、私の言葉でいえば、そこには「愛」がないのである。



一昨年、バスで四国巡礼をした際、徳島県の山中でお昼になった。食堂に向かうバスのなかで、添乗員さんがしきりに「ここは何も美味しいものがありませんので、地粉(じごな)で打ったうどんを食べていただきます。申し訳ありません」とおっしゃる。

「地粉のうどんがいただけるのなら、十分ではないか」と思ってノレンをくぐると、果たして、しっかりと小麦の香りがする美味しいうどんとちらし寿司が出てきた。しかもうどんは「おかわり自由」であった。お店の方のお話もたっぷり聞けて、6日間のツアーのなかで最も印象に残った食事であった。添乗員さんは、旅行者にとって何が「ごちそう」なのかということを完全に誤解していたのである。



このツアーでは別の日にも、とある徳島県内の旅館で仲居さんが「ウチには名物料理がございませんので、せめて阿波踊りを踊られていただきます」とおっしゃり、お2人で見事な阿波踊りを披露してくださった。これも素晴らしい「ごちそう」であった。奈良県下で、こんな「おもてなし」ができているのだろうか。できていないから、「大仏商法」という陰口をたたかれるのではないか。

いろんなことを考えさせられるアンケート結果であった。星乃さん、有難うございました!
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