エッセイ  - 麗しの磐梯 -

「心豊かな日々」をテーマに、エッセイやスケッチを楽しみ、こころ穏やかに生活したい。

自然の中での落ち着いた生活  

2006-06-01 | エッセイ
 今日から6月、庭の新緑がまぶしく、クマシデの実が逆光に透けて美しい。
ふと、一匹の白いチョウが緑の中をふわふわと横切った。
 あのたおやかな飛翔は、かつて少年の日に、その生態に興味を抱いたウスバシロチョウだ。氷河時代の化石とも言われるチョウだが、五月の葉のそよぎに、営々と続いた進化のあとを実感し、今年の再会を喜んだ。昨今の自然環境のダメージを思うと、周囲の山で羽化し、市街地への冒険旅行をするウスバシロチョウがたくましく思えた。
 物質文明は環境ばかりではなく、人の心や生活のスタイルをもかなりの勢いで変えているように思う。でも、あえて流れを追いたくはないし、流されたくないと思っている。
 庭のミヤコワスレを手折りコップにさした。可憐な花びらは紫の縞模様がさわやかだ。生きもの美しさにはいつも胸を打たれるが、チョウを目で追いながら、自然の中での落ち着いた生活を思った。