エッセイ  - 麗しの磐梯 -

「心豊かな日々」をテーマに、エッセイやスケッチを楽しみ、こころ穏やかに生活したい。

初夏の風にゆれる 可憐なヒメサユリ

2006-06-12 | 旅行


 天気予報は曇りだったが、午後からは梅雨明けを思わせる初夏の日差しが照りつけた。
午後2時を廻っていたが、思い立って(いつものこと)見頃を迎えたと思われる熱塩加納のヒメサユリを観に出かけた。今回も娘と孫2人と妻と5人連れだ。
 ヒメサユリの群生地は奥会津南郷村が有名だが、熱塩加納(現在は喜多方市に合併)の群生地、ひめさゆりの丘もすばらしかった。
  ヒメサユリは山形・福島・新潟県の県境周辺にのみ自生するユリで、南会津では浅草岳、会津朝日岳にしか分布しない貴重な植物。熱塩加納村では乱獲され絶滅寸前だったが、保護増殖に努め、群落をなすまでになったと言う。保護増殖地に群生する「ヒメサユり」は、種子から自然に増殖したもので、花を着けるまで5・6年もかかるそうだ。
 ほかのユリより早く咲き、花の色は淡ピンクから濃ピンクまであり可憐で美しい。
 散策中に白花のヒメサユリを1株見つけた。いま、丁度満開だった。花に近づくと芳香があり、コアオハナムグリが蜜に群れていた。2、3輪咲きが多かったが、中には7,8輪花を付けているものもあった。また、群生地には朱色のヤマツツジも今が盛りできれいだった。
 山一面にうす紅色の花が、初夏の風にゆれて咲く光景はすばらしかった。
また来年6月に訪ねたい。

丘の入り口には歌碑があった。
  「ひめさゆり物語      
      美しい乙女は恋に落ち
      彼の帰りを待ちわびながら 
      いつしか深い眠りにつき 
      やがて一輪の草花となった
      さわやかな風に揺られながら
      優しく可憐に咲き匂う
      ひめさゆりは
      乙女の面影そのものである   

帰路、喜多方・蔵の湯の温泉に浸かった。空いていて、女風呂から孫たちの歓声がこだましていた。

   《ヒメサユリの丘》