エッセイ  - 麗しの磐梯 -

「心豊かな日々」をテーマに、エッセイやスケッチを楽しみ、こころ穏やかに生活したい。

梅雨の晴れ間の小さな自然 

2006-06-18 | 日々の生活
       《咲き始めたキョウガノコ》

 時が止まったように静かな梅雨の晴れ間、全てがみずみずしい庭に精一杯のいのちを実感した。
 新芽の伸びきったコテマリの木陰を、ふるさとの空間を味わうようにホシミスジがひらひらと舞っている。柚子の新芽の黄金の卵も、いつしか終令幼虫となり姿を消したが、何気なく草を分けるとトラノオの茎に身を縛り付けていた。失われた柚子の葉が痛ましくもあるが、身動きできない忍耐の部屋から、あの美しいアゲハチョウが産まれる不思議を思い納得した。
 落ち着いた風情を感じさせる、雨に散ったバイカウツギの白い花びらの上を、地味だが金銅色に輝くアオオサムシが這っていく。
 科学技術の罪を言うなら、こうした自然を楽しみ愛する心が失われたことだと思う。
 アジサイ、オイランソウ、シモツケがそれぞれにつぼみを膨らませ、キョウガノコやハクチョウゲが咲き始めた。彩り鮮やかな主役が移ろいながら、毎年繰り返す庭の光景にいつも心がやすらぐ。