可憐な春一番の紫の花が、次から次へと咲いている。
本当の名は知らないがドライフラワーにすると、小判がたわわに実り、まさに黄金の輝くカネノナルキだ。かなり大きく成長した小判に、一頭のスジグロシロチョウがさかんに産卵している。紡錘形の高さ1ミリほどの淡い黄色い卵がいくつも見つかる。注意してみると、もうすでに孵化した幼虫が穴のあいた葉先に休んでいるではないか。この美しい花の上で、一つの小さな生命が成長しチョウになる不思議を思った。
小判は、朝の陽光に薄く透け、成長し始めた種がおたまじゃくしのように見える。まるで音符が踊っているようだ。繰り返し産卵するいとおしいチョウの動きを感動の目で追った。そしてクローズアップレンズで決定的瞬間をねらった。
いま一年中でもっとも美しい庭に、いつものようにフワフワとウスバシロチョウが舞い下りてきた。春から夏へ季節が移ろう。