■「建築トランプ」今回引いたのはT-HOUSE。設計者は誰?
住宅作品まできちんとチェックしているわけではないので、難しい。カードに描かれているのは内観パースとたぶん平面図だろう。
細胞が分裂を始めたばかりの状態、あるいは脳みそを硬い表現のイラストで描いたような平面は誰の設計だろう・・・。この内観を既に見たような気がして建築関係の雑誌を調べてみた。藤本壮介さんだった。「TOTO通信」の2006年春号に紹介されていた。
「TOTO通信」の2006年春号より
「新建築」の昨年11月号に藤本さん設計の「House O」が掲載されているが、そこに寄稿した藤本さんは**建築というものは「離れていて同時に繋がっている」と言えるような、さまざまな距離感の場であると思う。**と自身の建築観を書いている。
藤本さんはこの解説文を**原始的な場所を未来の住宅の原型にしたい。**と結んでいるが「原始的な場所」というのは分かりにくい。
先に挙げたTOTO通信で藤森さんはこの住宅を「21世紀の縄文住居」と評したが、藤本さんはこの藤森評をあるいは意識したのかもしれない。
縄文住居は円形のワンルームハウスだが、この「T house」はワンルームハウスを極薄い壁でまさに離れていて同時に繋がっている状態にアレンジしたモノ、そして原始的な場所を未来の住宅の原型にしたいという藤本さんの考えを具現化したモノだと言えそうだ。
住宅に限らない、建築は機能と部屋とをきちんと一対一に対応させるべきという考え方がいままで主流であったのでこのようなルーズな平面計画の提案はあまり無かった。
藤本さんはこの住宅で一気に有名になった。この先規模の大きな建築を設計する機会が当然あると思う。一体どんな建築を創るんだろう・・・。
*建築トランプは「南洋堂」と「トランプ」で検索するとヒットして全てのカードを見ることが出来ます。
東京ブルーシートハウスの住人の創意工夫に満ちた「リアルな生活」。
大学で建築学を専攻し、建築家石山修武さんの世田谷村で研修?修行?した著者の確かな目がブルーシートハウスの建築的構造やそこで生活する住人の暮らしぶりを詳細に捉えている。
社会規範にとらわれない?生活をする人が本能的に欲する住まいの姿とは・・・。次第に建築することの本質が見えてくる。
ブルーシートハウスの住人のレポートをまとめた本は何冊か読んだが、イラストはこの本がピカ一、アイソメトリック図法で詳細に描かれている。
お薦め本。