透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

法隆寺

2008-02-16 | A 読書日記



 最古の木造建築、法隆寺。自室の書棚から法隆寺に関する本を取り出した。

『法隆寺の謎を解く』武澤秀一/ちくま新書については既に書いた(060618)。

以下その改稿。


創建当時の法隆寺は塔や金堂などの伽藍配置が縦一列だったことが発掘調査で分かっているとのこと。ところが再建されて今日に残る法隆寺は金堂と、塔が横に並んでいる。縦から横へ配置を変えたのは一体何故か。そこには一体どんな意図があったのか・・・。

朝鮮半島、中国、インドでは縦一列のシンメトリックな伽藍配置。金堂と塔を横に配置するのはこの国独自。伽藍配置の変更の謎について著者は独自の視点からその謎解きを試みている。

著者は法隆寺の中門の中央に柱があることにも注目して、(確かに手元にある『日本名建築写真選集4 法隆寺』に載っている他の寺、例えば飛鳥寺、川原寺、山田寺などは中門の柱は一列4本だが、法隆寺は5本で中央に柱がある。)その謎に迫っている。何故法隆寺の中門だけが、中央に柱があるのか・・・。梅原猛や伊東忠太ら、多くの人たちが唱えるいくつかの説も紹介しているが、著者の説はなかなか興味深いものだった。

『日本名建築写真選集4 法隆寺』に載っている法隆寺伽藍略年表を見ると、講堂・北室が焼失、西室が落雷のため焼失、南大門が焼失、金光院・律学院が焼失、金堂より出火し壁画を焼損(昭和24年)と何回か火災に遭ってその都度再建していることが分かる。

奈良には桜よりも梅の花がよく似合うというイメージがある。春先の奈良、寺巡り・・・、いいだろうな。



 先日ソウルの南大門が焼失した。放火とのこと。韓国の人たちはさぞかし落胆していることだろう。ソウルの街に独特の景観を創出していた南大門、既に再建に向けての動きがあるという。見事な再建を願う