透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

「樂吉左衞門館」

2008-02-24 | A あれこれ

「新日曜美術館」(NHK教育TV)で佐川美術館の別館「樂吉左衞門館」が取り上げられた。この建築は十五代樂吉左衞門氏によって構想され、設計に3年、施工に2年を要したという(開館は2007年9月)。

番組では樂吉左衞門氏自身による展示室・茶室の設計コンセプトの説明があり、また施工の様子も詳細に紹介された。もちろん完成した建築内部も紹介されて興味深く見た。さすが竹中工務店、画面を見ただけで実にきちんと施工していることが分かった。

利休の待庵から400年余、利休が土壁に求めたわびを黒コンクリートに託した現代の前衛的な茶室。大半が水中に埋められていて、水面上には屋根のみが浮かんでいる。

細部にまで神経の行き届いた「竹中スタイル」が例えば地上部分の外壁の開口部廻りからも見て取れた。樂吉左衞門氏の既成概念にとらわれない自由な発想と「竹中スタイル」が見事に融合していた。美術館近くの体育館に茶室のモックアップ(原寸大の模型)を造って光の扱いなど様々なことを検討したという。

樂吉左衞門氏が杉の縁甲板型枠黒コンクリート打ち放しの床の間に、確か利休の孫が作ったという花入れを掛けて花を活けた。そのときの氏の言葉「花入れが空間を受け入れた」には驚いた。「空間が花入れを受け入れた」ではない。

氏にとっては建築も茶碗も花入れも等価なのだ。この茶室は予約すれば見学できるという。滋賀県、日帰りも可能だが京都、奈良とセットで出かけるのもいい。

■新日曜美術館「茶室誕生」は今夜(24日)夜8時から再放送されます。
 興味のある方は是非ご覧下さい。