■ 今読んでいる夏目漱石の『硝子戸の中』は大正4年の正月明けから1ヶ月あまり朝日新聞に掲載された39編からなる随想集。
漱石は翌年の12月に亡くなっているから、その前年の作品ということになる。カバー裏面に**著者の哲学と人格が深く織り込まれた作品である。**と紹介されている。
読み進むと、次ぎの件(くだり)が出てきた。**その位不便な所でも火事の虞(おそれ)はあったものと見えて、やっぱり町の曲り角に高い梯子が立っていた。そうしてその上に古い半鐘も型の如く釣るしてあった。**(52頁) 漱石の作品にも火の見櫓(火の見梯子)が出てきた。
漱石は「半鐘と並んで高き冬木哉」(52頁)という俳句もつくっていた。 なんだかうれしい。
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