透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

― 火の見櫓の分類軸(再掲)

2016-11-28 | A 火の見櫓っておもしろい

 数日前に火の見櫓のデザインについて**無数のヴァリエーションがあるように思われる火の見櫓だが、適切な視点を据えればいくつかのタイプに分類できる。そうすることで、火の見櫓の総体を見通すことができるだろう。**と書いた。(19年12月再掲)

そして分類するための視点として櫓の柱の数を挙げた。柱の数は火の見櫓を分類する有効な視点だが、もうひとつ別の視点を設定すれば、ふたつの視点を分類軸とする2次元のマトリックス上(平面上、具体的には紙面上)に観察した各々の火の見櫓をプロットすることができる。

前回はこのことを縦横に並ぶひき出しに火の見櫓の写真(情報)を整理するというように具体的に示した。

長野県の生活圏は地理的条件などから北信、中信、東信、南信という4つのエリアに分けられる。余談だが、県歌「信濃の国」にこの4つのエリアについて「松本 伊那 佐久 善光寺 四つの平は 肥沃の地」と謳われている。(

櫓の柱の数を縦軸に、そしてこの4つのエリアを横軸にして2次元のマトリックスを構成し、そこに火の見櫓をプロットすれば、地域による柱の数の傾向をビジュアルに示すことができる。

中信エリアには3本柱の櫓が多く、南信エリアには4本柱の櫓が多いという印象だが、このことを示すことができる。北信と東信についても傾向がはっきりするだろう。北信については観察数が少ないので分からないが、東信については4本柱が多いという印象だ。

単に数量的に示すのではなく、ビジュアルに示すというところがミソで、これは一目瞭然に示したいという私の欲求による。(過去ログ

また、横軸に火の見櫓の高さを4つくらいの区分で設定して火の見櫓をプロットすれば柱の数と高さとの間に関係があるかどうか、4本柱の櫓の方が3本柱の櫓より高いというような傾向の有無が分かるだろう。ただしこの場合、火の見櫓の高さをきちんと調べる必要があるが。

また、4本柱櫓に限定して屋根の形について、円形(円錐)と正方形(4角錘)のどちらが多いか、このことに地域差があるかどうか、こんなことも2次元マトリックス上にプロットすることでビジュアルに示すことができる。正方形(4角錘)が多いというなんとなくの印象だが。

要は明らかにしたいこと、知りたいことを分類軸を設定すればよいということだ。前回の投稿後にこの当たり前のことに気がついた。

ヒマになったら本稿に書いたことについて作業をしたいが、何年後になることやら・・・。


* 歌詞とエリアの対応関係:松本・中信 伊那・南信 佐久・東信 善光寺・北信

2015年2月10日の記事を再掲した。


732 中央線から見える火の見櫓

2016-11-28 | A 火の見櫓っておもしろい


732 山梨県北杜市小淵沢町上笹尾 中央線沿線の火の見櫓  撮影日161122

■ 特急あずさで東京に向かう時、いつもこの火の見櫓を見ている。小淵沢駅を通過してまもなく、この火の見櫓が進行方向右側の窓から見える。

車窓から、なだらかな坂道(山梨県道608号)の途中にこの火の見櫓がすくっと立っているところが見える。起伏のある周辺の土地には緑が多く、住宅が点在している。あずさで出かける度に火の見櫓のあるのどかな風景を俯瞰して、いいなぁ、と思う。

南牧村から小淵沢インターに向かう途中、偶々ここを通りがかった。あっ、ここだ。いつもあずさから見ているのはこの火の見櫓だ! うれしかった。

しばらくすると電車の音がして、あずさが通過していった。久しぶりに動く鉄と動かない鉄とのツーショットが撮れた。(注:写真のあずさは下りで、最後尾が写っている)。




和風に見える屋根。縦葺きの屋根は珍しい。避雷針には矢羽、下り棟の先には蕨手とは違う飾り(?)がついている。4隅を面取りした見張り台。手すりの飾りはよくあるデザイン。各柱に2本ずつ付けた方杖が見張り台の床の外周を支えている。小ぶりのスピーカーが2基手すりに取り付けてある。

 

背が高い火の見櫓で踊り場が2ヶ所ある。下の踊り場まで櫓の外に梯子が設置されている。柱間の長さを測った。4.4メートルあった。

さて、ここで脚部の構成の比較。

 

は長坂町大井ヶ森の火の見櫓(762)。を比較すると、印象が違う。やはりアーチ部材を入れているが好い。この部材の有無が構造的に影響するのかどうか・・・、入れた方が多少効果があるのではないかと直感的に思う。たとえ構造的な効果はないとしても見た目には是非欲しい。私はこのアーチにこだわっている。

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の写真では分かりにくいが、火の見櫓の脚が歩道にはみ出している。というか、時系列的には脚に構わず歩道を整備したということだろう。