透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

こうなっているのか・・・

2019-08-03 | A あれこれ

 今年の5月17日、文化審議会が文部科学大臣に旧開智学校校舎を国宝にするよう答申した。このことを記念して過日、国宝指定答申報告会が開催された(過去ログ)。この報告会以前から今日(3日)の見学会が予告されていて、申し込んでおいた。

午前10時半からの見学会に参加した。

旧開智学校校舎はあんパンと同じように和と洋の折衷だ。和の技術と材料を用いて和でも洋でもない建築を創りだしている。



学校建築でこれだけ装飾された車寄せとバルコニーはなかなか類例がないようだ。



開智学校はもともと女鳥羽川沿い(左岸)にあり、川の氾濫による水害にも遭っている。明治29年の水害以降、バルコニーも簡素なデザインで修復されていた。屋根は切妻で、エンジェルもないし手すりも簡素だ(上の写真)。

旧開智学校校舎は明治8年に着工、翌9年に竣工している。工事費11,000円(教員の給料で、現在の建設費に換算すると約2億円になるそうだ)の約7割が地元負担だったという。

校舎は昭和36年に重要文化財に指定され、昭和38年から翌年にかけて現在地に移築された。その際、バルコニーなどを含めて新築当時の姿に近づけて復元されたと、リーフレットに説明されている。





見学会ではバルコニー付きの車寄せ、塔屋などの説明が学芸員によってなされた後、内部へ移動した。で、普段は開かずの窓が学芸員によって開けられた。バルコニーの床は、と見ると瓦棒葺きのようだ。中央部分からごくなだらかな勾配がつけられているようにも見える。手すり中央の親柱につっかい棒をあててある。こうなっているのか・・・。遠くに松本城が見えている。



このエンジェルについては過去ログ参照。

エンジェルの後ろ姿は・・・。



こうなっているのか・・・。足の指は裏側もつくってある。こげ茶色の羽の先が見えている。

普段閉じているバルコニーの窓を開けてもらえたただけでも今回の見学会に参加する意義があった、と思う。