透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

夏休みの宿題2

2019-08-12 | A 読書日記



■ 夏休みの宿題は計9つ。今日(12日)朝カフェ読書で『星を継ぐもの』ジェイムズ・P・ホーガン/創元SF文庫を読み終えた。残る宿題は7つとなった。

**月面調査隊が真紅の宇宙服をまとった死体を発見した。すぐさま地球の研究室で綿密な調査が行われた結果、驚くべき事実が明らかになった。死体はどの月面基地の所属でもなく、世界のいかなる人間でもない。ほとんど現代人と同じ生物であるにもかかわらず、五万年以上も前に死んでいたのだ。**

本扉にもカバー裏面にもこの謎が書かれている。この長編SFはこの謎を長大な理路によって解き明かすという内容。

理路は途中、次のようなところも通過する。

**惑星に取り残されたミネルヴァ原産の陸棲動物はやがて絶滅しました。ところが、地球から移入された動物たちは適応性を発揮して生き残ったのです。それどころか、先住者との競争がなくなって、地球動物はミネルヴァ全域をわがもの顔に闊歩したのです。こうして新米の移入生物は、何百万年も前に地球の海にはじまった進化を、片時も中断することなく続ける結果となりました。ところが、言うまでもなく、一方の地球でも、その同じ進化のプロセスが続いていました。共通の祖先から同じ遺伝形質を受け継ぎ、等しい進化ポテンシャルを備えた二つの動物集団が、二つの惑星でそれぞれ独自の進化を辿りはじめたのです。**(266、7頁) 

**ミネルヴァは砕け散って小惑星帯となりました。(中略)ミネルヴァの月は大きな影響を被りながらも破壊は免れました。母惑星が破壊する際に起こった重力の激変に伴って、衛星の太陽を回る軌道のモーメントが低下して、月は太陽系の中心に向かって落下しはじめました。(中略)月の太陽に向かって接近していく道筋が地球の傍を通ったのです。(中略)今からかれこれ5万年前まで、惑星地球には月がなかったのです。(後略)**(272、3頁)

筆者注:ミネルヴァは火星と木星との間にあったとする仮想惑星、火星と木星との間には実際に小惑星帯がある。

これは壮大なサイエンス・ミステリーでもあるので、この先さらにどのような理路を通って先の大きな謎解きをするのかは書かない。ただ、なるほど!と思わせる「コペルニクス的転回」とでもいうべき理路によって解き明かされるとだけ書いておく。

もう海外の作品、それもSFを読む機会はないかもしれないと思っていた。だが、先日読んだ『華氏451度』に続き、このロングセラーも読むことができたことは今年の読書の大きな成果。 この作品には続編がある。それも読みたい。


夏休みの宿題 残りは
本2冊
映画2本
火の見櫓のスケッチ3点