■ 本年度16回目の本の寺子屋は作家・島田雅彦さんの講演会だった。人気作家だから聴講申し込みが多く、抽選になった。運よく当たった(田中優子さん(法政大学前総長)、小泉今日子さんの講演会は抽選で外れた)。昨日(27日)の午後、えんぱーくで行われた「フィクションの方が現実的」と題した講演で島田さんは広範な知識をもとにいくつかのテーマで90分間、きっちり話をされた。
以下ノートにメモしたことば(私の聞き違いなどによる誤記があるかもしれない)
・現実とフィクションの関係は相反するものではなく、表裏一体。
・よく見るという韓流ドラマの展開パターンの分析
・歴史は周期的に繰り返す、外圧で変わる日本。日本を変えた5つの歴史的な出来事とは・・・。白村江の戦い 2回の蒙古襲来 戦国時代の南蛮貿易 明治維新 日米戦争(敗戦、対米従属)
・最新作「パンとサーカス」について 小説だとディストピアに生きながらユートピアを描くことができる。小説は天下国家を語る「大説」とは違い、わたくしごとを扱うが、そこには社会の反映がある。
・VR(仮想世界)の話 デジタルファッション(イメージだけの服、自分のアバターの着せ替え、エアファッション)
・エア〇〇につういて エア食品 エア出張(カラ出張)エア政治
・仮想世界を映すゴーグルを装着、ラーメン画像を見ながらそばを食べると、ラーメンを食べていると脳が認識してラーメンの味がする。これ最近読んだ本に同じような話が出ていた。脳は騙されやすい。
講演が終わった後、参加者からの質問にも丁寧な答。
Q:10代、20代で読んだ作品で印象に残っているのは? A:梅崎春生の「幻化」とトーマス・マンの「ベニスに死す」
Q:食通の島田さん、塩尻の山賊焼き食べましたか? A:食べました。感想とトリ料理についてあれこれ。
Q:芥川賞の受賞を逃しているが、現在選考委員をされている。 A:6回候補に挙がった。そのうち5回は受賞作なしだった。反対者が誰だったのか、聞いている。「名前は言えませんが」に続けてふたりの選考委員の名前を挙げた。ここには書かないでおく。
もう一つの質問は政治的な内容だった。Q&A省略(具体的な質問、具体的な回答)。
ぼくは島田さんの小説を読んだことがない。自室の書棚にあるのは『衣食足りて、住にかまける』(光文社2004年)だけ。帯にあるように住宅論。建築関係の本と同じところに並べてある。
講演会場で『小説作法XYZ 作家になるための秘伝』(新潮選書2022年)を買い求めた。今週はこの本を読む。帯の顔写真は近影のようで、昨日の顔と同じ。イケメンで女性のファンが多いらしく、昨日の講演会場も女性が多かった。