和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

今回は読む気に。

2008-10-06 | Weblog
産経新聞2008年10月6日。つまり今日。
曽野綾子の連載コラム305「透明な歳月の光」を読みました。
こうあります。
「首相の所信表明演説の全文を掲載してくれた新聞があったので、それを読むことにした。ということは、今回初めて読む気になったのである。今までは、首相の所信表明演説の紙面を見るだけで、私は文字を追う気になれなかった。忠実な人は今までもずっと読んでいたのだろうが、私は勝手なのだろう。読む気が起きる時とそうでない時とがある。」

さて、ここが前段階。つぎはこうでした。

「どうして今回は読む気になったのだろう、と考えたら、昔先輩の編集者から受けた文章作法の原則が私の心理に作用していることがわかった。初めて新聞小説を書くことになった時、私は恐怖に硬くなっていた。その時、私に読者を意識した文章の書き方の心得を教えてくれたのは、一人の年上の編集者だった。文章は謙虚な姿勢で書くこと。つまり向こうが読んでくれて当然と思わないこと。読んで頂くには遅くともスタートして十日目までに、読者に興味を持たせること。
恐らく首相の所信表明演説だったら十行目までに、読者の心を捕える個性が示されねばならないということになるだろう。
次に大切なのは、紙面(字面)の緩急と明るさ。あんまりむずかしい字をぎっしりと詰め込むと息苦しくなり読者に無礼である。なんとなく明るく、風通しのいい紙面が大切なのだが、文章にむだを許してはならない。
まだ数項目あるのだが、今回の首相の所信表明演説は、最初の二つの条件を満たしていたのであろう。・・・・」

ここで最後の〆の言葉を引用しちゃいましょう。

「人は、社会的な地位や立場の如何(いかん)にかかわらず、個人として言うべき哲学とその言葉を持たねばならない。それが平易な表現で他者に伝えられなければならない。その能力がない人は、どんな秀才でも機能の一部に甘んじるほかはないのである。」

え~と。こうして曽野さんのコラムを引用していると、
首相の所信演説全文を、あらてめて読み返してみたくなりました。
コメント
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