和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

オノマトペア。

2013-10-26 | 地震
近くの高校は、
大正11年創立。そして校舎ができると、関東大震災。
全焼。その様子を塚越赳夫先生が、記録しておいてくれました。

この文には繰返しが多く。実感的で、わかりやすい。
たとえば、

「・・みちみちと初めの内はよく有る地震だとばかり・・・
みちみちが間もなくがちゃがちゃとなり天井がゆらゆら揺れる・・・」

「ふと後を振り返ったら二階建の寄宿舎は北側へ引っ繰り返ってゐた。その直ぐ隣りの理科室は半潰れになってゐた。とその中に火が見えるではないか。紙か油が燃え上る様に赤い焔がめらめれと見えるでは無いか。・・・斜に傾いた窓から白煙もうもうと立ち上り、理科室の内部はみるみる内に真赤な火焔が一杯では無いか。『火事だ火事だ』と呼ぼうとしたが自分の喉からは声が出なかった。・・・」

「再び教員室へ飛び込んだがもう天井がヒューヒュー火焔で唸ってゐる」

「こうしてはゐられない。早く救ひ出さなければならぬ。しかし自分の体は思ふ様に働けなかった。焦りに焦って唯うろうろしてゐるのみであった。」


この塚越赳夫先生は、博物科の受け持ち。
博物の教える内容は、博学とあり、植物、鉱物、地質、動物、生物理。
と教育内容に書かれております。

さういえば、
上田篤著「縄文人に学ぶ」(新潮新書)に
こんな箇所があったなあ。

「話は飛躍するが、日本語はいろいろの言語が混合した『ピジン語』とみられ、その起源は『縄文時代以前に遡るであろう』(山口敏監修「日本人の起源の謎」日本文芸社)といわれる。日本語の特徴にオノマトペアがある。カラスがカアカア鳴くとか、雨がシトシト降るとかいった擬声語あるいは擬態語である。
そしてそのオノマトペアの豊富さの起源のヒントになるものにアイヌの『ユーカラ』さらにそのなかの自然が神さまとなる『カムイユカル』がある。
その自然とは、鳥獣はもちろん草木虫魚、日月星辰だ。・・・
その神々が自分が何者であるかを示すためにしばしば『折返し』なるものを歌う。
それは動物の鳴き声であったり、動作であったり、状況であったり、叫びであったりする。それがオノマトペアであろうとわたしは考えている。」(p197~198)

大正12年か。
博物科の塚越赳夫先生の授業を、
一度聞いてみたかったなあと、思ったりします(笑)。
コメント (2)
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