和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

談論風発の風に乗って。

2016-06-09 | 地域
鼎談で、こんな箇所がありました。

田村秀男】 馬鹿にしてはいけないのは、日本のバンカーや
日銀、財務省の役人と比べて、アメリカのエリート大学を卒業した
中国人の人民銀行の首脳、財務官僚、党の官僚の上層部は、
高い能力を持っています。
コミュニケーション能力にかけては、人民銀行総裁の
周小川が高いと評判です。私も一度、国際会議で議論しましたが、
この人は開けっぴろげでズバリ本音を言うこともあれば、
平気で嘘を言い、相手には本当のことだと信じさせるタイプです。
実に堂々としていますね。・・・・
国際会議、たとえばIMF・世界銀行年次総会など、
ああいう場では、周小川の周りにたくさんの人が集まっています。
それくらいコミュニケーション能力があり、しかも評価されている。
やっていることはインチキですけれども(笑)。

宮崎正弘】 しかし、その周小川は15年8月の人民元切り下げ以来、
16年2月のG20まで一度も記者会見をしなかった。
ダボス会議にも出席しませんでした。
中国人というのは、個々を見たらとにかく優秀なんです。
でも昔から『三人寄れば豚になる』と言われているように、
団体行動がとれないでしょう。チームワークもない。
どんなに能力が突出した人が銀行業務をリードしていこうが、
結局はバックに共産党がいて、これが最終決定権を持っている
ということで、その能力は相殺されるんですよね。

以上は、
「中国経済はどこまで死んだか」(産経新聞出版・p60~61)
に見かけました。

『三人寄れば』といえば、そういえば外山滋比古著
「乱談のセレンディピティ』(扶桑社・p70~71)に


「ひとりではダメ、二人でもうまくいかないが、
知的発見は三人ならずっとうまく行くということを
昔の人も知っていた。『三人寄れば文殊の知恵』
ということわざがある。読書信仰の強い日本である。
このことわざの意味が半ばわからなくなっている。
辞書に当たってみる。
『平凡な学者でも、三人が集まって相談すれば、
よい知恵が浮ぶものだという意味』(岩波ことわざ辞典)
本当は、そんなことを言っているのではない。
学者が三人集まるのではなく、人が三人集まって、
話し合っていると、文殊のような知恵が飛び出してくる
ことがある、といっているのである。
三人が学者である必要などまったくない。・・・・
三人の話し合いは、新しい力が生まれる。
相手が二人いる。
それぞれが、反応するからことばが重層的になる。
混乱するが、エネルギーをはらんだ混乱で、
めいめいに強い印象を与える。
おもしろい談話が生まれる。
そのおもしろさは、本を読んで得られる満足感、
気持ちのよい対話をしたあとの爽快感と違った
生産的エネルギーを内蔵する。
うまく引き出せば文殊の知恵である。」


この外山氏の本のはじめの方には(p18)

「読書と知識から生まれた発見は、ほんものではない。
本当に新しいことは、談論風発の風に乗って飛来する。
それをとらえるのが英知である。
いくら本をたくさん読んでも、その英知を身につける
ことが難しいことを文化の歴史は示しているように
思われる。」
コメント
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