和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

深代惇郎「ふがいない話」

2017-07-09 | 朝日新聞
深代惇郎の天声人語に
「ボルテージ」と題するコラムがあります。

ちなみに、深代惇郎氏は昭和4年生まれ。
朝日新聞に入社して
昭和46年ヨーロッパ総局長、
昭和48年1月論説委員、
同年2月から50年11月1日、
入院するまで『天声人語』を執筆。
昭和50年12月17日、急性骨髄性白血病のため死去。

では『天声人語』のコラム「ボルテージ」の
最後の箇所を引用。

「書くことがなくて、・・・
雪月花にも感慨がわかないときは、
政治の悪口を書くといってはふがいない話だが、
そういう時もある。
本人は、ほかにないから書いているのであって、
そう朝から晩まで悲憤慷慨しているわけでもないのに、
コラムだけは次第に憂国のボルテージが上がって、
自分とはいささかちぐはぐの『書生論』になる。
ジャーナリズムには、
そういう気のひけるところがある。」
(48・12・3)


山本七平著「『知恵』の発見」(さくら舎)を
ひらいてみたら、こんな箇所がありました。

「誰かを批評すると、
したほうがむしろ害を受ける。
というのは、何も業績がないのに相手と
対等のような錯覚を持ってしまうからである。
否、時には相手以上だという錯覚を持ち、
それでいて内容はカラだという
状態に陥りやすい。」(p110)


藤原正彦の「管見妄語」を読みたいと
思って古本で注文。
「グローバル化の憂鬱」が届く。これは
週刊新潮2012年8月~2013年8月までの
コラムをまとめた一冊でした。
その頃はどんなだったか?
「はじめに」には、こんな箇所がありました。

「今、本書を読み直すと、政治経済に
関するものがこれまでに比べてやや少ない。
年の前半は、長年続いた自民党無能政権に愛想を
つかした結果生まれた民主党政権が、
自民党の数倍も無能な素人集団と判明した時期である。
呆れ果てて声も出なかったのだろう。
この内閣の時に東日本大震災が起きたのは
今考えても無念だ。
また年の後半に政治経済が少ないのは、
久しぶりの安部内閣の手綱さばきが見事すぎて
声が出なかった。
大々的な金融緩和と公共投資を柱とする
アベノミクスは、本欄で私が以前から主張していた
ことでもあり、文句のついけようもなかった。
外交や国防に至っては首相が次々に打つ手の
鮮やかさに舌を巻くばかりで陶然としていた。
かろうじて箸にも棒にもかからない
教育改革を見つけ批判しただけだった。」
(p3~4)

コメント
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