三谷一馬著「江戸商売図絵」(中公文庫)。
はい、古本で300円。
「はじめに」にある、三樹書房版の序からの引用
「前々から江戸風俗を絵ときした本があると、
便利だという声を聞いていました。・・・
おこがましくもそれではと思って作った第一作がこれです。
ですからこの本は、江戸の商売風俗を絵であらわしたもの
ということになります。・・・
絵は全部著者が原画より模写したものです。
原画の文字、背景は省略し、原画の不足は
描き足してあります。・・・」
各絵には、出典が記されて丁寧さが伺えます。
絵の次に、文があるので、背景もわかります。
たとえば、『寄席』の文
「元禄(1688~1704)頃の鹿野武左衛門が、
落語家の元祖といわれています。当時は
葭簀(よしず)張りか、せいぜい自分の家に
人を招き集める程度でした。本格的な落語家が
出はじめたのは寛政(1789~1801)頃です。
専門家といっても昼間はそれぞれの職業をもっていて、
夜だけ噺(はなし)をしました。場所も一定せず、
手習稽古所や芝居が休みの時の芝居茶屋の二階などを借りたものです。
やがて一席の料金を定め、客を集めて営業する者が増えると、
講席があちこちに出来はじめました。これを俗に寄場、
略して寄せといいます。寄席と書くのは比較的最近になってからです。
・・・・・・・・・ 」(p383)
ちなみに、平松洋子著「野蛮な読書」(集英社・2011年)に
「 一時間以上は散歩に出る 」という箇所がありました。
そこに、三谷一馬の文庫本が出てきておりました。
最後は、そこから引用しておくことに。
「・・ここまでちょうど20分、折り返し地点で熱いコーヒーと文庫本。
息抜きに図録集はいいですね。気分に風穴があく。そのうえ
三谷一馬『明治物売図聚』は、資料画家が活写した明治時代の
物売りのすがたを三百点以上も載せて、とても贅沢。
散歩のおともに定番の一冊だ。・・・」(p25 単行本)
あれ、私が買った古本は「江戸商売図絵」
平松洋子さん指摘の本は「明治物売図聚」
三谷一馬でも別の本でした、まあいいか。