和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

歌集「本所両国」。

2021-06-13 | 詩歌
はい。小高賢の歌集が読みたく、ふんぱつ。
雁書館の「本所両国」(2000年)にする。

はい。題名がいいじゃないですか。
相撲力士の四股名(しこな)みたいです。
本所力士とか両国力士とか。
あっ。両国力士というのはおりました。
地名はいいですね。御茶ノ水博士とか、井の頭さんとか(笑)。

うん。そんな連想から、小高氏の歌集を選びました。
もちろん古本で、1980円+送料262円=2242円なり。
新刊の本体価格は3000円になっております。
はい。歌集ですからね。ときには奮発します。
昨日は、この歌集をひらいておりました。作品444首。198頁。
1ページに多くて3首。
まるで、白砂敷の庭園に、岩石が3つ並ぶように、
余白に、3首が顔を出しているような風景。
はい。たまには、こういうのもいいですね。
安易に言葉で刈り取るのはやめにして、一日寝かせておりました。
もっとも、数日寝かせると私は忘れてしまいますから、
そろそろ、この時点で思い浮かぶのをメモしてみます。

444首。旅に出たり、会社のこと、家族のこと、
さまざまなのですが、はい、読む方は勝手です。

会社のことは、引用がむつかしいので、
まずは、1首を引用して次に行きます。

  頑迷な奴とぶつかるつづまりは
     いかに生きるかその岐路に立ち (p52)

ページの余白に青葉・若葉は映えます。
アトランダムに以下引用していきます。

 整列の新入生の笑むごとし
    いちょう並木に若葉のゆれる  (p16)

 鳴る風に双手をひろげ樟の木の
        青葉の太郎若葉の次郎 (p17)

 大樟は陽をあび風にむきながら
        地の信頼を一身に受く (p22)

 樹に化(な)らん樹になりたしと
     念ずれば風にゆらるる眠り来んとう (p87)

 ときに鋭くことばはかえる
      若葉から青葉の年齢に子は移れるや(p173)

 重すぎる枝葉を透かし来るひかり
        夏の匂いを帯び真直ぐなり  (p178) 

 新緑のまぶしきなかにほほえみの
       記憶ばかりを焼きつけし死者  (p182)

 「異動の季節」という会社での歌がありました。

 熱おびる売り買い市場あの子欲し
       この子出したし異動の季節   (p164)

 眼にいたきまでの若葉よ
     紙の上に人を動かし終わる一日   (p165)

 さくらばな散りて始まり
    若葉すぎ青葉の頃に終わる異動は   (p165)


うん。最後に引用するのは、どれにしましょう。
ケセラセラ。私が選んだのは、この一首。

 こうなれば笑いとばさん生きるうちは
         秩序正しく胃を強くして  (p154)

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3 コメント

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Unknown (kaminaribiko2)
2021-06-13 11:51:50
ご紹介ありがとうございました。
返信する
小といえども。 (和田浦海岸)
2021-06-13 12:31:44
こんにちは。カミナリビコ2さん。

はい。歌集『本所両国』の
あとがきには

「どのような形であれ、
生きるということが滲んでいないと
ゆたかにはならない。

といってただ自分の生をべたっと
描写すればいいというものではない。

小といえども文学への志向が
なければならない。その狭間の緊張感。
・・・・・
そういいつつ作品をながめていると、
忸怩たるところも少なくない。

まあこれが自分なのだ。これもまた
あきらめるより仕方がない。・・・」

はい。あいかわらず『あとがき』を
わたしは、読んでしまいます。
返信する
Unknown (kaminaribiko2)
2021-06-13 15:56:25
またまた参考になるコメント返しをありがとうございます。この後書きで、自分のために記事を書かせていただきますね。
返信する

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