和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

「わらべ歌」の源流へ

2024-11-29 | 詩歌
もう11月28日となりました。何とか今月中に
「日本わらべ歌全集」(柳原書店)を読み終える予定は中断。
私の興味の賞味期限は、まあ、ここいらあたりとなります。
全集をひらくのはここまでにして、またふたたび、興味の潮が
満ちることを期待しながら、本棚へともどすことにします。

ところで、収穫がありました。
岩波文庫『 わらべうた 日本の伝承童謡 』
文庫の最後にある、浅野建二「解題」がわらべ歌の姿を
歴史の中へと辿ってゆく魅力を感じました。
ということで、「解題」を、ちょっと触れておくことに。
どのような具体例がでてくるかを列挙してゆきます。
まずは、

〇 「日本書紀」巻24 皇極天皇の2年の条・・
    岩(いは)の上に  子猿米焼く
    米だにも 食(た)げて通らせ 
    山羊(かましし)の老翁(をぢ)
〇 宣長「古事記伝」

〇 藤原通憲「本朝世紀」に
  天慶8年7月九州より上洛した志多良(しだら)神を
  諸人が歌い囃したという神事歌謡(童謡)6首
     月は笠着る、八幡は種蒔く、いざ我等は荒田開かむ。
     しだら打てと、神は宣ふ、打つ我等が命千歳。
     しだら米早買はば酒盛れ、其の酒富の始めぞ。

  の如く、当時の老若男女を狂信的ならしめた歌舞で、
  『 しだら打つ 』 (手を叩く義)という歌遊の事象は、
  更に『建久3年皇太神宮年中行事』の鳥名子の舞歌にまで
  伝承された。即ち、同書に
      
     しだら打てと、父が宣へば、打ち侍べり、習ひ侍べり
     袙(あこめ)の袖、破れて侍べり、帯にやせむ、
     襷(たすき)にやせむ、いざせむ、いざせむ、鷹の緒にせむ。
       
はい。これが解説のはじまりの方にあります。
最後には、この岩波文庫の本文から、これからの時期のわらべ歌を

       大寒小寒  ( 寒気 )   東京  P130

     大寒(おおさむ) 小寒(こさむ)
     山から小僧が泣いて来た
     なんといって泣いて来た
     寒いといって泣いて来た


        霰やコンコン    秋田    P140

      霰(あられ)や コンコン 豆 コンコン
      鰯(いわし)コ とれだら 籠背負って来い
 
      霰や コンコン 豆 コンコン
      鰰(はだはだ) とれだら 樽持って 来い



        雪コンコン     宮城  p142

      雪 コンコン 雨 コンコン
      お寺の屋根さ 雪一杯た~まった
      小僧 小僧 ほろげ(揺すぶっておろす意) 
      和尚さんほろがねがら おらや~んだ


         雨コンコン    福島   P143

      雨コンコン 雪コンコン
      おら家の前さ たんと降れ
       お寺の前さ ちっと降れ


         雪やコンコン   京都  p144

       雪やコーンコン
       霰やコーンコン
       お寺の柿の木に
       一ぱいつ~もれ
         コーンコン


         じいじいの      石川 p146

       じいじいの ばァばいの
       綿帽子雪が降るわいの
       おおと(玄関・表口)の蔀(しとみ)も立てさっせ
       背戸の烏も啼くわいの
       摺鉢(すりばち)かぶって走らっせ


        堅雪かんこ      青森  p148

      堅雪か~んこ 白雪かっこ
      しんこの寺さ 小豆パッとはねた
      は~ねた小豆コ すみとって
      豆コ ころころ 豆コ ころころ



はい。このへんで引用をおわります。           



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