映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

ラストゲーム 最後の早慶戦

2009-08-15 06:09:19 | 映画(日本 2000年以降主演男性)
昭和18年学徒出陣が決まったあと、出征していく学生たちを送り出す最後の早慶戦がおこなわれた。その決行までの流れを描いた映画である。残念ながら映画としての面白みにかけるが、この試合の後戦死した両校の学生に謹んで哀悼の意を表したい

戦局は次第に厳しくなっていった。その前年より東京六大学リーグは休止とされ、大学の野球部の面々は練習しても試合の場に恵まれなかった。勉学優先だった法文系の大学生にも出征の命が下る学徒出陣令がでた。選手たちを思い、石坂浩二演ずる慶応塾長小泉信三は、柄本明演ずる早稲田野球部顧問飛田穂洲に早慶戦を申し込む。選手たちは沸き立ったが、早稲田総長はその話を断る。飛田は再三説得するが、受け入れられない。そこで独断で強行突破の道を選ぶが。。。。

早稲田野球部の学生が中心に描かれる。しかし、試合を持ち込んだ慶応義塾小泉信三塾長に対して、藤田まこと演じる早稲田総長が話のわからない存在として描かれる。慶応が正義の味方のようだ。しかし、もっと正義の味方が早稲田側に現れる。強行突破する柄本明はなかなかの好演である。

私自身はどうしても慶応側から見てしまう。慶応義塾では福沢先生に次ぐ偉大な存在である小泉信三先生を演じたことは石坂浩二にとってはこの上ない名誉であったろう。家には小泉先生にかかわる本がたくさんあり、空襲で大やけどする前の戦前の小泉先生の写真がある。石坂浩二はそれなりに演じたが、もっと貫禄ある存在ではなかったであろうかと思う。多少身動きに軽さが感じられた気がする。
学生時代に小泉先生の素晴らしさは、先生を慕う人たちから話を聞いていた。それだけに先生の本は共産主義批判の本をはじめ、絶版も含め集めたものだ。小泉信三先生が戦争で亡くなった息子を偲んだ本は先生の死後、とんでもないベストセラーになった。これこそ涙なくしては読めない作品である。先生はこれを生前発表されることを拒み続けたと聞く。私自身は結婚式のスピーチにたびたびその中の名文句を引用させていただいている。

登場する選手では慶応の別当薫が一番の有名選手ではなかろうか?長身に丸メガネの顔と関西弁が特徴ですぐ別当だと思った。列車の中で別当だとわかって大騒ぎになるシーンがある。甲南中での甲子園出場から慶応と大スターだったらしい。その後阪神、毎日とスター選手の道を歩み、毎日、近鉄、大洋の監督だった。メガネのコマーシャルでダンディぶりを発揮していた。戦争中よく生き抜いたものだ。 もう一度亡くなった皆さんに哀悼の意を表したい。
コメント
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