映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

荒野の七人  ユル・ブリンナー

2010-06-27 20:31:23 | 映画(洋画 69年以前)
「荒野の七人」はいわずと知れた黒澤明監督「七人の侍」のアメリカ版リメイクである。今だったらギャラにいくらかかるんだろうと思わせる豪華キャストである。エルマーバーンスタインの映画音楽が非常に画像にマッチしていて、気分を高揚させる。
イーストウッド主演「荒野の用心棒」が黒澤の「用心棒」をストーリーを完全にパクっているのに対して、この映画は七人のキャラも若干変えて、まったく同じにはしていない。「用心棒」のように一対一の戦いではないので、まったく同じにしづらい部分も多かったであろう。後半戦の盛り上げは本家に比べて落ちるが、ユルブリンナーの颯爽たるリーダーぶりはもう少し評価されてしかるべきだと思う。

メキシコのある農村には収穫の季節になると、たちの悪い盗賊たちがいつも来て収穫の農作物をさらっていった。そのことは村中の悩みであった。そこで村人3人が盗賊たちに対抗するために助っ人を探しに旅にでる。ある町でユルブリンナー扮する浪人のガンマンがスティーブマックイーンとくんで町人たちを札付きたちから助ける場面に直面する。その直後に農民3人はユルブリンナーのもとを訪れて事情を話し、自分たちを助けてくれないかと懇願する。態度を保留するが、結局引き受けることになり、仲間を探しはじめる。報酬が安いため、二の足を踏むガンマンたちだが、結局引き受けることになり7人が農村に向かう。農村では暴れ棒たちの来襲に備えて、防御のための石垣を積んだり、銃の演習をしたりして防戦の準備に入ることになるが。。。。

本家と比較すると、当然ながら役者の面構えがちがう。60年代初頭のユルブリンナーはまさに絶頂のとき、リーダーぶりに貫禄を感じる。実にかっこいい!本家のリーダーは志村喬であるので、戦略家とプレイヤーの要素が入ったリーダーとの違いがでてくる。彼とマックィーンの存在でリメイク映画のいやらしさを消している。



この映画を機として人気が出てくるスティーブ・マックィーンやジェームス・コバーンもいい。スティーブ・マックィーンは何せかっこよすぎる。本家の作品で宮口精二が演じた剣の達人に対応するのがジェームス・コバーンである。宮口精二が宮本武蔵的な修練の鬼のような日本人的達人であるのに対すると、若干違うがイメージは同じであろう。



チャールズ・ブロンソンもいい味出している。この映画では村の子供たちとの彼の会話に重みを持たせている。ブロンソンは70年初頭「マンダム」のコマーシャルで日本中を沸かせたものだった。自分の部屋にもひげのブロンソンのポスターが貼ってあった。あの人気ぶりは異常だったと思う。この作品やアルドリッチ監督「特攻大作戦」のころの彼もいいと思う。



本家で三船敏郎と木村功が演じていた役を混ぜて一人の農民出身の若者を登場させる。ドイツ人の俳優と聞くが、この映画では重要な役である。黒澤明は未熟者と達人を一緒に登場人物として、その対比を示すのが得意である。宮口と木村を対比させた「七人の侍」もそうだし、三船と志村を対比させた「野良犬」も同様である。ここではそんなに顕著には対比を出してはいない。この観点でみると黒澤映画の人物設定の重みを感じる。

音楽もいいし、途中までは快調だけれども、締めに向かってがちょっと弱いなあ!
あの雨の中の戦いのようなスリリングさにかけるのではないか?
改めて「七人の侍」が海外でもあれほどまでに評価されるのがわかる気がする。

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北国の帝王  ロバート・アルドリッチ

2010-06-27 20:04:46 | 映画(洋画 89年以前)
男の世界を描かせたら天下一品といわれたロバート・アルドリッチ監督による活劇である。リーマーヴィンとアーネストボーグナインのアウトサイダーな動きをする二人を前面に対決させる。話自体は非常にばかげている気もするが、流れるムードは競い合う「男の世界」だ。

1930年代の大恐慌のアメリカは失業者であふれていた。その失業者の中に貨物列車に無賃乗車をするホーボーというグループがいた。その一人がリーマーヴィンである。逆に目の敵のように無賃乗車の連中を列車から突き落とす車掌がいた。それがアーネストボーグナインである。二人のほかにリーマーヴィンと連れ添って無賃乗車をする若者がいる。映画はすきを見て貨物列車に乗ってやろうとするリーマーヴィンと取り締まるアーネストボーグナインの対決で続いていく。。。。。



無賃乗車くらいでこんなに争うなんて、現代を基準に考えるとおかしな気もする。
でもそれを言ってはこの話は始まらない。
両者は意地になっているのである。

アルドリッチ監督は多彩なジャンルでその才能を発揮している気がする。西部劇やアウトサイダー劇だけでなく、狂気を超越したスリラーとも言えるベティデイヴィス主演の「何がジェーンに起こったか」という傑作を撮っている。彼の映画では対立する両者の善悪がはっきりしないところがある。この映画でもリーマーヴィンとアーネストボーグナインのどっちが悪いのかよくわからなくしている。しかもこの二人はいずれもしぶとい。
この映画では走っている列車の上で、すでにオスカー主演男優賞をとっていた二人の名優を大暴れさせる。
これってかなり危ない撮影だったのではないか?
スタントマンもいたであろうが、二人の面構えと好演に拍手を送りたい。
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マイライフ マイファミリー ローラリニー

2010-06-27 10:19:43 | 映画(洋画:2006年以降主演女性)
マイライフ・マイファミリーはフィリップシーモアホフマンとローラリニーのアメリカ映画で欠くことのできない二人が認知症の父親の面倒をみる兄妹を演じた映画である。小品であるが、観だすと画像から目が離せない。病気だった父母を看取った自分と妹を照らし合わせながら観た。



フィラデルフィアで大学の教員をしているフィリップシーモアホフマンは40過ぎにして独身、その妹のローラリニーも独身であるが、妻子ある中年男性と付き合っている。二人の両親は老いていて、認知症の父親を母が面倒見ていた。ところが、その母親が突如としてなくなってしまい、認知症の父親が残され、二人はどうしようかと考える。結局「老人ホーム」に入れるしかなく、兄の家の近くの施設に入所させるが、認知症の父親はそこをホテルかと思い好き勝手なことをしだす。。。。

認知症とまでいかなくても、死んでいく少し前は頭が少しづつボケていくものである。母は意識のなくなる寸前まで頭脳が明晰であったが、心臓疾患を10年以上わずらっていた父はこの映画の父親に似ているような奇怪な動きは若干あった。そういう父親をどうしようという話である。まったく違う環境で暮らしている兄妹だけど、肉親は面倒見なければならない。あくせくしている様子が良くわかる。両親が具合が悪くなってはじめて兄妹の付き合いが、子供のころのように戻っていくというのは自分も経験した。プライベートにはお互い深く干渉せずだが、親の取り扱いについてしょっちゅう大喧嘩するところは似ているかもしれない。

この二人の映画は再三取り上げている。ローラリニーはよくもまあ違うキャラができるものだと感心する。年齢よりも若く見えるせいか役柄も幅広く演じられる。
日本未公開というのは、一般的な日本での二人の知名度からすると仕方ないと思う。でも兄妹の愛情というのに言及したこの映画に流れるムードはやさしい。
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