映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

映画「百円の恋」 安藤サクラ

2015-01-08 20:53:19 | 映画(自分好みベスト100)
映画「百円の恋」を映画館で見てきました。
本当によかった。熱い高揚感を感じさせてくれた。この映画の安藤サクラは本当に凄い。たぶん今年の日本映画の主演女優賞は全部彼女がさらっていくんじゃないかな?そう思わせるようなすばらしさでした。


若干ひきこもり気味の32歳の独身女性がひょんなきっかけでボクシングをはじめ、プロテストを受けようとするお話。女性のボクシング映画と言えば、アカデミー賞作品「ミリオンダラーベイビー」のヒラリースワンクが目に浮かぶ。彼女の劇中年齢設定も31歳だった。クリントイーストウッド、モーガンフリーマンという超大物が支えながら、名作をつくったのに対し、ここでは有名俳優の援護射撃はない。安藤サクラの独壇場だ。
若干ネタばれもあるが語っていきたい。

32歳の一子(安藤サクラ)が主人公である。弁当屋を営む父母と一緒に暮らしていたが、自堕落な日々を過ごしていた。そこに妹の二三子が出戻り子連れで実家に帰ってきた。弁当屋を手伝わない一子に二三子がムカつき大ゲンカ。一子は母親から金をもらい、アパートを借りて一人暮らしを始める。


町の百円ショップに面接に行き、深夜のバイトを始める。店長も変わっているが、それ以上にひたすらしゃべりまくる男性店員がおかしい。それに加えて夜中に残りもの弁当を持って帰る変な浮浪者オバサンがいる。そんな一子は、帰り道にあるボクシングジムの練習に目をとめるようになった。そこには、一人でストイックに練習するボクサー・狩野(新井浩文)がいた。練習を覗き見することを唯一の楽しみとしていた。

ある夜、そのボクサー・狩野が百円ショップに客としてやってくる。いつもバナナばかり買っていくようだ。バナナを忘れていったことをきっかけに話すようになる。そんな狩野がボクシングの試合のチケットをレジで渡し、一子は男性店員と一緒にボクシングの試合を見に行くのであるが。。。


ボクシングの試合に一子は感動する。終わった後に肩をたたきあって激励しあう姿をすばらしいと感じる。やがて、2人はつきあうようになる。不器用な一子にできた初めての恋人であったが、狩野が浮気してあっさりおわってしまうのだ。落胆する一子はその不満をはらそうとボクシングジムに入門する。

ボクシングジムでのしぐさはたどたどしい。パンチもお嬢様のお遊びのようだ。ところが、一子は練習に集中する。

ここからが凄い!
一子の動きがシャープに一変するのである。シャドウボクシングのパンチも鋭いスピード感あるものとなる。
見ていてアドレナリンが噴出してくる。手に汗を握るくらいスリリングな動きだ。



なんだこの変わり方は!!
しかも代役をたてているわけでない。パンチ部分だけ、画面スピードをあげているわけでもない。
リアルな安藤サクラである。

そしてプロテストに向かう。
徐々に我々のテンションも上げていく。無理だといわれながら、試合にも挑む。
おそらく、映画館全体で安藤サクラを応援していたのだと思う。

試合ではグータラ娘を見守っている父母や妹とおいも応援していた。心配そうに見ていた。
きっとこの瞬間をみて、安藤サクラの本当の両親も興奮していたであろう。いやーすごかった。


印象的なシーンは数多くあるが、自分にとって一番気になったシーンがある。
弁当屋を営む母親の具合が悪くなり、父親が手伝ってくれないかと、外に飛び出した娘のところへいき、一緒に酒を飲む。
その時、安藤サクラ演じる一子が初めてすがすがしい笑顔を見せる。それまで、相手に返事をするのもたどたどしい娘がボクシングを練習をするようになって変わっているのだ。この笑顔が脳裏にこびりつく。

涙腺を熱くする映画であった。
コメント
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