映画とライフデザイン

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映画「幼な子われらに生まれ」 浅野忠信&田中麗奈

2017-08-30 19:21:07 | 映画(日本 2015年以降主演男性)
映画「幼な子われらに生まれ」を映画館で観てきました。


なかなかの傑作である。浅野忠信主演の新作は、田中麗奈演じる妻と連れ子2人と暮らす男を演じる。夫婦ともバツイチで再婚、男にも前妻との間に生まれた娘がいる。微妙な年齢に育った娘の反発に戸惑う男の姿を巧みに演じる。重松清の原作をベテラン荒井晴彦が脚本化し、「繕い裁つ人」「少女」三島有紀子監督がメガホンをとる。

「映画芸術」をホームグラウンドとした批評家として一言多い荒井晴彦であるが、脚本家としては超一流である。余韻を残す間の取り方がうまい。それでも「この国の空」はそんなに好きになれなかったが、この映画ではセリフにならない情感のこもったシーンのつくり方が実にうまい。それに合わせての浅野忠信の熟練した演技がよく、女流監督による女性のいやらしい部分の見せ方もうまい。おそらくは本年屈指の作品と評価されるであろう。

東京郊外に住むサラリーマン田中信(浅野忠信)はバツイチで再婚、専業主婦の妻・奈苗(田中麗奈)と妻の連れ子2人と幸せに暮らしていた。ところが、夫婦の間に新しい子供ができたことで、連れ子の長女が猛反発するようになる。一方で、キャリアウーマンの元妻・友佳(寺島しのぶ)との間にもうけた実の娘と3カ月に1度会うことになっていた。


血のつながらない長女は子供が生まれて捨てられるのではと辛辣になり、「本当のパパに会わせて」というようになる。もともと奈苗は家庭内暴力で離婚し、長女もその被害を受けていたのにそう言われることに息苦しさを覚え始める信は、奈苗の元夫・沢田(宮藤官九郎)と会うことになるのであるが。。。


浅野忠信は好演だが、田中麗奈演じる奥さんが可愛い。いいなと思わせるシーンがいくつもある。一方で寺島しのぶ演じる元妻がいやな女だ。何で私の気持ちがわからないと元夫に言う話し方が実にいやらしい。観ていてムカつく。でもこういうセリフを女性から引き出す三島監督のうまさもあるのであろう。小学校6年生の設定という連れ子もいやな女になりきっている。

1.浅野忠信
もともとは温厚で家庭思いのサラリーマン。セリフにも定時退勤で、有休を全部消化なんて自分からすると考えられない男だ。ドロップアウトで一方通行になる子会社出向も淡々と受け入れる。インターネットの通信販売の倉庫でブルーカラー的な仕事だ。何より家族が大事と考えていたのに、連れ子の長女から強い反発を受ける。フィクションといえどもつらいシーンである。それでも冷静に抑えていたのが、ある時爆発する。その気持ちわかるなあ。


宮藤官九郎演じる妻の元夫に会うシーンがある。流れ流れて、今もまともな生活をしていない。連れ子の娘を思い、低姿勢で競艇場でギャンブルに興じる元夫に会おうとする姿はいじらしい。田中麗奈演じる妻が何で自分の娘の無謀な反発を許してしまうのか?と劇中ながら思ってしまうが、そのあとに素敵なシーンが残されている。

2.別れた娘との出会いとジーンとするシーン(ネタバレ)
寺島しのぶ演じる元妻の間に娘がいる。3か月に一回会うことになっているが、元妻の夫が余命短いことがわかり、次回の面談は遠慮してくれと言われる。でもそのことは娘に伝わらず、娘は父親に無理やり会おうとする。そこで2人は会うが、その際に元妻の夫が危篤という電話がかかってくる。ところが、突然の落雷で電車も動かない。


娘を連れて、病院まで急ぐ。そして病室まで行く。その際、浅野忠信がこん睡状態の元妻の夫に向かって「今まで娘を育ててくれてありがとう」というシーンには胸がジーンとする。

ここでは子連れの母がいずれも再婚する設定になっている。夜の飲み屋にいくと、母子家庭の母親がいっぱい働いている。まあ、今回のケースはレアなんだろうなあ。


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