映画とライフデザイン

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映画「あゝ荒野 後編」 菅田将暉&ヤン・イクチュン

2017-10-27 19:16:49 | 映画(日本 2015年以降主演男性)
映画「あゝ荒野 後編」を映画館で観てきました。


前編はなかなかの出来であった。当然、観に行かねばと思い、超満員の映画館に向かう。上映館が少ないので混んでいるなあ。前編の鑑賞後で、寺山修司の原作を購入したが、後編をみるまでお預けで2時間半を超える長丁場に向かう。

会社のある新宿高層ビル街でのトレーニングシーンが目立ち、見慣れている光景に気分が高揚する。因縁の相手との対決で気分を盛り上げ、バリカンの予想外の展開に身を任す。最後に向けては原作に忠実であるが、ちょっとやりすぎじゃないという感じもする。

前編のほうがよかったんじゃないかな?上映時間が長時間になるのは、原作にない部分の設定が多すぎるからではないか。因縁の相手である裕二を設定するのは仕方ないとしても、どうでもいいデモのシーンとかバリカンの父親を元自衛隊員にしてしまうのはあんまり褒められたものでもない気もする。

プロのボクサーとして着実に力をつけている新宿新次(菅田将暉)は、少年院に入る前に裏切りにあった因縁の相手・裕二(山田裕貴)との対戦が決まり、片目(ユースケ・サンタマリア)やトレーナーの馬場(でんでん)とともにトレーニングをはじめる。そのころ、母(木村多江)から兄貴分のバリカン建二(ヤン・イクチュン)の父が自分の父を死に追い込んだことを知らされる。それでも、特に変化なくバリカンと付き合いを続ける。


そのころ、海洋ボクシングジムのオーナーである宮本社長(高橋和也)はジムの地主石井(川口覚)から土地有効活用に絡んで、ジムの立ち退きを要求されていた。宮本は石井を誘ってジムの実情を説明しようとする。そこで、バリカンの戦いぶりと人柄に惚れ、石井はバリカンにある提案をする。

そして、新宿新次は裕二との対戦を迎える。試合場でセコンドに入るはずのバリカンがいないことに気づく。バリカンは石井の紹介でジムを移籍したのだ。新次はわれを忘れて裕二に立ち向かう。

バリカンは移籍後力をつけていく。しぶとい戦いを続け連戦連勝だ。もともと自殺研究会のリーダーの彼女(今野杏南)の窮地をあることで救っていた。バリカンへの感謝をこめて試合を見に来るようになったこの美しい女性が童貞のバリカンに引き寄せられるのであるが。。。

1.白熱のファイト
新宿高層ビル、大久保の裏小路、大久保から高田馬場へ向かう道で新次とバリカンはランニングを続ける。そして、うらびれたジムで徹底的に体を鍛えて試合に臨む。少年院に行く前に裏切りにあった裕二は原作にはない。原作では少年院にどうして入ったかは言及されていない。この設定はオリジナルだが、いきなり新次対バリカンになるよりは1つのピークを作るという意味でいいのではないか。
ただ、この試合の内容はいただけない。裕二に対して、恨みがあるのはわかる。殺したい気持ちになるのもわかる。でも、ボクシングルールを無視したような動きはよくない。亀田甲毅がタイトル戦で反則したときの動きのようだ。減点はあれど、試合は続く。これってちがうんじゃない?これで勝負がつくというのは変じゃない??

2.宮本社長の取り扱い
原作を読むと、 宮木社長(原作では本でなく木)はスーパーの経営者ということになっている。しかも、宮木社長の手記なんかもとりあげられている。昭和41年当時は価格破壊でスーパーマーケットがいちばんの成長株だったわけだ。今はリアル店舗がネット通販に押されているときで、スーパーをクローズアップはできない。映画での宮本社長は介護施設やボクシングジムを経営している。介護というのは補助金目当てにまじめな仮面をかぶった裏の奴らも参入する現代のビジネスかもしれない。うさんくさい顔をさせると、高橋和也はうまい。


原作と共通する場面は、新次が宮木社長のオナニーを偶然に見てしまうということ。このコミカルな感じも演じる高橋和也のうまさが光る。どこで新次に見られるかということは原作を読んでいない人へのお楽しみにしておく。

3.ヌード三景
一作目で菅田将暉とやりまくっている木下あかり のベットシーンは経済学の「限界効用逓減の法則」どおり一作目ほどは衝撃を受けない。 2作目ではもともと木下の母親であるという設定の河井青葉が、ユースケサンタマリア扮するジムのオーナーが通い詰める飲み屋楕円で働くということになっている。「私の男」でもヌードを見せていたが、今回もモデル出身の裸体をさらす。


そして、意外な掘り出し物があった。今野杏南である。自殺研究会のイベントで自らドローンからの攻撃を受けて亡くなったリーダーの彼女だ。それがバリカンの目の前に現れる。自殺研究会のリーダーの子を身ごもっていた彼女が流産してしまうのだ。図書館で倒れた時、そばにバリカンがいて助ける。そして、2人は近づいていき、ラブホに入る。そこで見せつける今野杏南のボリューム感タップリの美しいバストにビックリ。映画を見ていた全ての男性は思わずゴックンとしてしまったのでは?

4.原作と違う余計な設定
原作に付け加えてよかったと思える部分もあるが、変な場面も多い。どうもこの脚本家はデモとか好きなのか?東日本大震災の被災者の設定やバリカンの父親が自衛隊員とするのもどうかと思う。変に反体制の雰囲気を醸し出させるのはちょっと余計だな。ヤン・イクチュンの母国では徴兵制がある。徴兵制反対なんてプラカードを韓国の人が見たら、日本人は能天気だなと思うであろう。

寺山修司の原作は思いのほか簡潔でいい小説であった。新宿大映とか緑屋とか西口会館とか今はもうない新宿の固有名詞を見るたびに気分は高揚する。

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